第25章

 バランから脱出した艦隊は、マゼラン雲へ逃げ帰っていた。
「ブリュンスタ大提督!! バラン基地から少数の艦が帰ってきました」
「何!? 直ぐに司令部に出頭させよ」
「はっ!! 直ちに出頭させます」



「司令。 司令部に出頭せよとの命令です」
 総司令部からの命令を司令に伝える兵士。
「分かった。 直ぐに出頭する。 例の資料を持ってきてくれ」
「はいっ」
 資料を持って司令部へ出頭するバラン地上基地司令。
出頭する彼の両脇を衛兵が囲んでいる。



「大提督!! バラン地上基地司令が出頭しました」
 大提督に報告する兵士。
「お前達は、下がれ!!」
 衛兵に下がれと命じるブリュンスタ。
「バラン防衛艦隊所属バラン地上基地司令、ウェストワルド出頭いたしました」
「ご苦労…… ウェストワルド、戦場放棄が重罪だとわかっているだろう」
「それは、重々分かっています。 地上基地もミサイルを発射して敵を倒さんと努力しました。 軌道の本部がヤマトに撃破された為、基地を放棄して脱出しました」
「戦闘データをセットしろ!! わし自ら分析する」
「はい」
 ウェストワルドが持ち帰った資料を分析器にかける兵士。
戦闘データがモニターに映し出される。
「銀河系攻略、一筋縄ではいきそうに無いな……」
 データーを見て呟くブリュンスタ大提督。
「大提督。 私の処分は?」
「少し、黙っていろ!!」
 なにやら、真剣な様子のブリュンスタ。
考え込んで暫く経った時、ブリュンスタが口を開いた。
「リベンザルを此処へ呼べ!!」
「はっ。 リベンザルを呼びます」
「大提督。 空母艦隊司令を呼ぶのですか?」
「あぁ。 彼の機動部隊をヤマトへあてる」
「本気なのですか!? 空母艦隊を展開できる宙域があるのですか?」
「ある」
 そう言って、とある宙域を映し出す。
「空母艦隊を展開できる宙域は、此処だけだ」
「此処は、何処ですか!? 大マゼランでは、無いようですが……」
「[七色混成発光星域]、通称[七色星団]だ。 資料によれば、過去に数度大きな会戦が行われている」
「其の大きな会戦と言うのは、何ですか?」
「ヤマトとガミラスのドメルとか言う名将が戦った会戦や数年前にも此の宙域で大きな戦いがあった」
「大提督、お呼びですか!?」
「君に艦隊を率いてもらわなくなった」
「まさか、バラン基地が陥落したのですか?」
「其のまさかだ、ウェストワルド……」
「あの規模の艦隊が全滅するとは、敵は何隻ですか?」
「ヤマトという艦と数隻のガルマン帝国の艦隊によってだ」
「たった、それだけの戦力で全滅したのですか!?」
「あぁ、たった、それだけの戦力で全滅した」
 映像を見ても信じられないと言う顔をするウェストワルド。
「大提督、私に用途は何ですか!?」
「君には、空母艦隊を率いて欲しい。 空母艦隊を率いて[七色星団]でヤマトを撃破してもらいたい」
「おまかせください。 [七色星団]で、見事にヤマトを撃破してごらんに入れます」
「出撃前に言っておく。 あのヤマトは、我々の知っているヤマトとは明らかに違う。 心してかかれ!!」
「はっ!!」
「ウェストワルド!! 空母艦隊に護衛戦艦部隊を加えて出撃せよ」
 空母艦隊に護衛戦艦部隊も加えるよう言うブリュンスタ大提督。



 遠く離れた宇宙では……
「陛下!!」
「バラン基地が陥落した」
「まさか、我が帝国の基地が簡単に落ちるわけ無いでは、ありませんか」
「間違いない。 バラン基地は、ヤマトとガルマン帝国の艦隊によって陥落した」
「では、ブリュンスタに確認を取ります」
 軍令長官のブラーシュが言う。
通信機を操作して、大マゼラン雲の基地へ連絡を入れる。
 暫く経って、スクリーンに大マゼラン雲のブリュンスタ大提督の姿が現れた。
「此方、本国のブラーシュだ!!」
『此方、銀河系侵攻艦隊司令部……』
「バランが陥落したのは、本当か!?」
『本当です。 軍令長官』
(皇帝陛下のおっしゃられたことは、本当だったか……)
「移民計画に変更は、ない。 予定通り銀河系を攻略せよ」
『はっ!!』



「艦長!! 次の戦闘が行われる可能性が高いのは[七色星団]です」
 中央作戦室の土方が言う。
「[七色星団]か……」
「艦長は、知っているのですか?」
「知っている」
 古代は、土方の問いに答えた。
「[七色星団]は、ヤマトが二度戦った宙域だ」
「二度と言われますと、ガミラスとの会戦と連合艦隊との会戦ですね」
 その二度の会戦は、地球の歴史で有名な会戦である。
「また、会戦が起こる可能性があると言うのか!?」
「はい。 会戦が行われる可能性は間違いなく100%です」
「避けて通れないのか……」
「避けて通る事は、出来ません。 既に沖田が技師長へ整備の要請をしに行っています」
「土方、1500にメインクルーを中央作戦室に集めてくれ!!」
「了解しました」
 ヤマトは、新たな戦いに備えた作戦会議が行われる事になった。
七色星団で歴史に名が残る大会戦が行われるまで後、3日。

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