第20章

 コスモタイガーは、編隊を組んで飛行する。
敵の監視衛星群を破壊する為に。
「敵、監視衛星を確認。 全機、ミサイル安全装置解除!!」
 加藤は、誤射を防ぐ安全装置の解除を命じた。
「全機、攻撃開始!!」
 加藤の命令で、一斉にミサイルを発射するコスモタイガー。
発射されたミサイルは、敵監視衛星に突き刺さる。
 ミサイルが突き刺さり爆発する監視衛星。
「よし。次を攻撃するぞ!!」
 再び攻撃態勢に入るコスモタイガー。
其の時、一条の光がコスモタイガーを襲う。
「全機、攻撃中止!! 全速離脱」
 加藤の命令で離脱を開始するコスモタイガー。
離脱するコスモタイガーにビームの雨を見舞う謎の衛星。

「艦長!! 加藤より通信です」
 相原が、報告する。
「通信回路開け!!」
『此方、加藤!! 敵の戦闘衛星の攻撃を受けています。 ヤマトによる撃破をお願いします』
「加藤、もう少し持ちこたえろ」
『急いでください。 あまり、長引かせられません』
「わかった。 戦闘衛星の位置を送ってくれ!!」
『了解。 直ちに座標を転送します』
 加藤が、言って直ぐに戦闘衛星の座標が送られてきた。
「座標、受け取りました」
「加藤、安全宙域まで後退して待機!!」
『了解!! 安全宙域で待機します』
「宮川!! 座標を元に各所に指示を出せ!!」
 古代は、副長の宮川に命じた。
宮川は、各所に指示を出した。
 其れを受け、斉藤が命令を実行する。
「全艦戦闘配備!! 全主砲発射用意!!」
 戦闘員が艦内を駆け回る。
各砲がうねりをあげ、目標へ砲身をあわせる。
『此方第一砲塔、発射準備完了』
『第二砲塔発射準備完了!!』
 各砲塔から発射準備完了の知らせが来る。
「目標、敵戦闘衛星。 発射!!」
 ヤマトの主砲が一斉に火を噴いた。
ヤマトの主砲は、戦闘衛星を次々撃ちぬいていった。
 ヤマトに撃ちぬかれ次々爆発していく戦闘衛星群。
其れでも、攻撃してくる戦闘衛星。
「コスモタイガー、4番機、22番機、30番機、44番機、帰還せよ」
 左舷戦術指揮席の近藤泰が命令した。
彼は、航空管制も担当しているのだ。
 呼ばれた機が帰ってくる。
帰ってくる機は、煙を吹いている。
『此方、格納庫!! コスモタイガー4番、22番、30番、44番機着艦!! 消火及び修理に当たります』
 格納庫から報告が来る。
「レーダーに反応!! ビデオパネルオン」
 サーシャがビデオパネルに映像を投影する。
映し出されたのは、巨大な戦艦が絶対に破れない垣根を造っている姿だった。
「此のまま、近づけば危険だ!! 副長!!」
「はい。 斉藤!! 波動砲発射用意!!」 
「了解!! 波動砲発射用意!! エネルギー充填率300%」
 斉藤が、電算室に指示を飛ばす。
「此方、航空管制!! 波動砲を使う為全機帰還せよ!!」
『此方、加藤!! 了解した全機帰還する』
 加藤率いるコスモタイガー隊がヤマトへ帰還してくる。
「波動砲強制注入機出力50%。 エネルギー注入率60%」
 徳川が、注入作業を急ぐ。



「司令、ヤマトがやってきました」
 兵士が報告した。
「軌道上の超巨大戦艦部隊へ!! 全艦戦闘配備!! 全力でヤマトを撃沈せよ!!」
 ホルギリスが命じた。
「司令!! ヤマトに高エネルギー反応です」
「何!? 阻止しろ!!」
「無理です。 まだ、射程圏外です」
「地上のミサイルを発射しろ!!」
「はっ!!」
 バラン星から超大型ミサイルが次々発射された。



「レーダーに反応!! バラン星から発射されたミサイルです」
 サーシャが報告する。
「波動砲発射準備完了!!」
 波動砲の発射準備が整う。
「ターゲットスコープオープン!! 電影クロスゲージ、明度20」
 発射シークエンスが最終段階へ入る。
「対ショック、対閃光防御!! 発射10秒前!!」
 全員が目を保護するゴーグルを装着する。
「5、4、3、2、1、発射ぁっ!!」
 斉藤が、トリガーを引くとヤマトの艦首波動砲口から勢いよくエネルギーが発射された。
 発射された波動砲は、地上から発射されたミサイルを飲み込みながら敵の巨大戦艦へ襲い掛かった。



「艦長!! 敵の波動砲が来ます」
 兵士が叫んだ。
「回避しろ!!」
「無理です。 各艦と連絡通路と繋がっているので身動きが取れません」
「バリア展開急げぇ!!」
「バリア展開も間に合いません」
 其の直後、波動砲の直撃を受けた。
「ぐぅわぁぁぁっ!!」
 直撃を受けた艦を中心に周囲の艦へ誘爆が広がっていく。



 其の頃、ガルマンのバラン奪還艦隊は・・・…
「司令!!」
「如何した!?」
「バラン星方面で爆発反応を確認しました」
「爆発反応だと!!」
「はい。 タキオンエネルギーの解放も確認されました」
「ヤマトだ!! 我らは、遅れを採ってしまったようだ・・・…」
「司令。 如何しますか!?」
「決まっているだろう…… 全艦潜航!! 之より戦闘宙域へ突入する」

 バラン宙域において、三つ巴の戦いが始まろうとしていた。

第19章

 ヤマトは、バラン宙域に近づきつつある。
ガルマン艦隊が必死で追いかけてきている事をまだ知らない。
「艦長!! 間もなく第一級戦闘体制移行時間です」
 副長が報告した。
古代は、マイクのスイッチを入れ告げた。
「此方艦長…… 之よりヤマトは、第一級戦闘体制へ移行する。 総員、配置につけ!!」
 艦内にアラームがなり戦士達が其々の持ち場へつく為に駆けずり回る。

「急げぇ!!」
「遅れんな!!」
「敵艦は、俺たちの班が静めてやるぞ!!」
 皆、口々に駆け回り自分達の持ち場に飛び込んでいく。



「将軍!! まだ、ヤマトに追いつけません」
 ワープにワープを重ねてもヤマトに追いつけないがルマン艦隊。
「ワープだ!! 次のワープの用意だ!!」
「将軍、これ以上のワープは、不可能です」
「不可能でもヤレ!! 之は、デスラー総統の命令でもあるのだぞ」
「では、30分ほど兵士達に時間をください」
「そんな時間はない」
「機関整備の為の時間です。 エンジンが不調になったらいけません」
 機関整備を理由に兵士達の休憩時間を稼ごうとする副官。
「いいだろう。 30分後には大ワープを行うからな……」
「有難うございます。 将軍」
 副官は、兵士達を休ませる口実を得たのだった。
其れから、30分。 兵士達は、整備をするふりをしつつ休憩を取った。
「司令。 各機関の整備、完了しました」
「よし。 バラン宙域へ向けて最後のワープを行う」
 一斉にワープ空間へ消えるガルマン艦隊。
彼らは、ヤマトの恐るべき戦闘力を目の当たりにする事をまだ知らない。



「島!! 停止だ!! 敵の監視衛星を調査する」
「了解。 旗艦停止!!」
 島は、制動をかけた。
ヤマトが、其の巨体を停止させる。
「電算室!! 監視衛星がないか確認急げ!!」
『了解!! 確認急ぎます』
 電算室から返事が変えてくる。



「中嶋!! 遠野!! 敵の監視網がないか確認を急げ!!」
 電算室長が二人に命じる。
探査を始めて直ぐに声が上がった。
「電算室長!! ヤマトの前方1000宇宙キロに監視衛星群を発見しました」
「監視衛星の数は?」
「約、200ほどです」
 敵の監視衛星の数は、200を数えた。
「既に、此方の動きを掴まれていると見たほうが良いな」
 そう言って、報告する電算室長。



『……と言うわけで、敵に掴まれている可能性が高いです』
「そうか…… 引き続き調査し、随時報告せよ!!」
『はい。 引き続き調査します』

「艦長。 既に敵に我々の位置を知られているようです」
「加藤!! 出撃できるか?」
『艦長。 何時でも発進できます』
「よし。 コスモターガー隊発進!!」
「コスモタイガー隊発進!!」
 命令を受けて発進するコスモタイガー隊。



「コスモタイガー隊全機発進!!」
 加藤が、全機に指令する。
「全機、よく聞け!! 俺たちの任務は、敵の監視衛星の破壊だ!! 当然、警戒も厳しいだろう。 単独行動は、するな!! 複数機で編隊を組で攻撃しろ!!」
 加藤が、隊員に注意を促す。
今、戦いの火蓋が切られようとしている。

第18章

「ガルバート帝国のバラン基地の全兵士に告ぐ!! 数日後、ヤマトと総力戦を行う。 凄まじい戦いが予想される。 皇帝陛下の為に地球を我らの手中に収めるのだ!!」
「「「おおぉぉぉっ」」」
 ホルギリスは、兵士達の士気をあおる。
「いいか!! 勝利は!?」
「「「「ガルバート帝国に」」」」
「宇宙の支配者は!?」
「「「「皇帝陛下」」」」
「そうだ。 偉大なる皇帝陛下だ!! 支配者たる我らから見て地球人は?」
「「「「「原始人」」」」」
「「「「文明遅れ」」」」
「「「「猿人」」」」
 兵士達は、見下した言葉を次々言う。
「地球人は、我らに奉仕する事が有史以来の決まりごとだ!! 我らに歯向かう者は容赦なく殺せ!! 宇宙の支配者が誰であるか、支配されるのがどっちであるかをな……」



 圧倒的な戦力で待ち構えている事も知らずにヤマトは、バラン星に近づきつつあった。
「副長!! 後、3時間でバラン宙域に入ります」
 島が、副長に報告した。
古代は、艦長室に下がっていていない。
「艦長!! 至急第一艦橋へお越しください。 間もなくバラン宙域に入ります」
 宮川が放送で呼ぶと古代は、艦長室から降りてきた。
艦長席に着いた古代は、命じた。
「総員、第二級戦闘体制!!」
「第二級戦闘体制へ」
 ヤマトが第二級戦闘体制へ移行した事が艦内放送で伝えられる。
平時から戦闘体制へ移行しつつある。
「此方、艦長!! ヤマトの戦士諸君に告ぐ。 本艦は二時間後に第一級戦闘体制へ移行する。 準備を怠るな!! 加藤、コスモタイガー隊は万全か?」
『整備は、抜かりありません』
 加藤の返事が返ってくる。
「斉藤!! 各兵装問題ないか?」
「航行中にも旋回テストを自動、手動でやりましたが問題ありません」
「徳川!!」
「はいっ」
「機関は、問題ないか?」
「左右両方のエンジンは、問題なく動いています」
「よし。 中央作戦室!!」
『何でしょうか!?』
「作戦は、出来上がったか?」
『今までに何度もシミュレートしています』
「今のところ、どのプランが当方の被害を軽減できるか?」
『サーシアの力を借りて立案した15号作戦が良いかと思います』
「15号と言うと艦載機で奇襲を掛けつつヤマトは、次元潜行して敵に接近、殲滅する作戦だったな……」
『はい。 敵も奇襲を警戒しているはずです』
「艦載機を危険にさらすわけにもいかないな……」
(波動砲は、撃たせてはくれないだろう)
「艦長!! こんな事になるかもと思って主砲の射程を1000万宇宙キロに伸ばしておいた」
 真田の専売特許、“こんな事もあろうか”が炸裂した。
「何時の間に、射程を延ばしのですか?」
「いや。 土方たちの提言でな……」
 主砲の射程延長を提案したのは、土方と山南だった。
「土方と山南が!?」
「聞くところによると第二砲塔の沖田との三人の提案だ」
「まさか……」
「其のまさかだ!! 沖田提督の孫だ」
「沖田艦長の」
 古代は、納得できた。
彼の沖田十三の孫だったからだ。 
「彼は、土方や山南に負けず劣らず優秀だぞ」
「今すぐに作戦室に呼んで、作戦を練り直させます」
 緊急に作戦を練り直す事になったヤマト。
2時間で、新たな作戦が練りなおせるのか?



「デスラー総統!! 我が軍の監視衛星がヤマトの出撃を捕らえました」
 キーリングがデスラーに報告する。
「そうか…… 出撃して行ったか」
「はい」
「キーリング!! ウラウルフを呼べ」
「直ちに呼びます」
 そう言ってウラウルフを呼び出すキーリング。
「お呼びですか? 総統!!」
「君に頼んだ仕事は、出来たかね?」
「はい。 苦労しましたが完成しました」
「よし。 直ちにバラン奪還艦隊のグラルバジャルに出撃を命じろ!! 戦闘開始前にヤマトと合流せよと」



「将軍!! 全艦発進準備整いました」 
 バラン奪還艦隊の副官が報告した。
「よし。 全艦発進!!」
「全艦発進!!」
 ガルマン星からバラン奪還艦隊が飛び立っていく。
激戦が待ち構えているバラン宙域へ……
 艦隊が飛び立って少しするとアラームがなった。
ワープ可能宙域に出た合図だ。
「全艦、バラン宙域へ大ワープ!!」
 グラルバジャルは、ワープを命じた。
命令と共に次々、ワープ空間へ消えていった。
(ガミラスに弓を引いたことを後悔させてやる)
ワープ中、手から血がにじむくらい強く握っていたグラルバジャルの姿があった。
 果たして、彼らはヤマトが戦闘を開始する前に合流する事が出来るのだろうか?

第17章

「司令長官!! ガルバリア戦隊が戻ってまいりました」
 偵察艦隊の参謀が報告した。
「帰還したら、司令官を私のところへ来るよう伝えておけ!!」
「はっ!!」
 少しして、司令部にガルバリア戦隊の司令官が現れた。
「偵察艦隊司令長官がお呼びだ!!」
「司令長官が!?」
「旗艦の司令長官室へ行け!!」
「はいっ。 参謀閣下」



 偵察艦隊旗艦に其の司令部はある。
そして、其の旗艦にガルバリア戦隊の司令は、呼ばれた。
「司令長官!! お呼びですか!?」
「偵察の結果を報告してくれ!! ガルバリア戦隊司令、グリモアー」
「ご報告します。 ご命令どおり太陽系近海で偵察任務を遂行しました」
「ハイペロン爆弾は、如何なった?」
 ハイペロン爆弾のことを効くグリゴール。
「では、之をご覧ください。 我が部隊が撮影した映像です」
 そう言って、映像を見せるグリモアー。
「何だ!? アレは……」
「分かりません。 謎の超兵器で我が帝国のハイペロン爆弾を粉砕後に現れました。 深入りは危険と判断し、引き上げました」
「其の判断は、正しかっただろう」
 映像を見て語るグリゴール。
「此の情報は、本国に送る。 皇帝陛下の判断を仰ごう」



「皇帝陛下、偵察艦隊から緊急連絡です」
「読め!!」
「はい。 我が帝国のハイペロン爆弾、敵の超兵器で粉砕された直後、ブラックホール発生せし。 安全の為、撤退し候。 皇帝陛下の判断を仰ぎたきし候」
 電文の内容を読むグリジアーノ。
「出てきたか……」
「はぁ?」
「我が帝国を崩壊へと誘う悪魔の戦艦よ」
「悪魔の戦艦ですか?」
「そうだ、あの戦艦によってバラン防衛基地は陥落する」
「地球と我が帝国とでは、埋めようの無い圧倒的な力の差があります」
「彼のズォーダーも圧倒的な力の差がありながら負けておる。 力の差など当てに出来ん。 最後に勝つのは覚悟の差だ!!」
「陛下、返信は如何しますか?」
「『敵を格下と侮るな!! 侮れば、足元をすくわれる』とな……」
「はっ。 直ちに返信します」



「う~む。 周囲に残骸はないな」
 ヤマトは、撃破したハイペロン爆弾の状況を確認していた。
「周囲に残骸はありません。 撃破出来たと思われます」
「よし。 引き続き探査をしろ!!」
 古代は、電算室の安部に命じた。



「司令!! 要塞の修理、完了しました」
 ガルマン兵は、報告した。
「よし。 全兵士に交代で休みをとらせろ!!」
「はっ」
 要塞の修理改修を終えた兵士に休みを与えるよう言ったアールフレッド。
司令席で一息つくアールフレッド。
「司令こそ、休みを取られては?」
 副官が、司令に言う。
「そうだな…… 後の指揮は、任せた」
 そう言って、アールフレッドは、司令長官室へ下がっていった。



『ホルギリス!!』
「はっ!!」
『後、5日余りでヤマトが来る。 準備は、良いだろうな!?』
「既に準備は出来ております」
『お前の血の気の多さを存分に発揮する時が間もなく来る。 バランの地上にミサイルの配備は済んだか?』
「はい。 バランの地上に数千のミサイルを配置完了しております」
『偵察艦隊からの情報だ!! 参考までに聞くがいい』
 そう言って、偵察艦隊司令に変わるブリュンスタ大提督。
『ヤマトに波動砲を使わせるな!! 使わせる布陣をすれば、あっという間に雌雄が決するだろう。 常にバランを背に戦え。 波動砲を使える位置に布陣させるな』
『以上が、偵察艦隊からの情報だ。 其れを生かすも、殺すも、お前しだいだ! ホルギリス!!』
「はっ。 偉大な皇帝陛下の為に……」



作戦室で、デスラー、キーリング、ドメラー、フラーケン、ウラウルフが集まって会議を行っていた。
「総統、バランを奪還する部隊ですが……」
 キーリングがデスラーに聞いた。
「ドメラー。 艦隊総司令として案は無いか?」
「はい。 奪還は、奇襲で持ってしなければなりません。 敵も奇襲を警戒指定は図です。 其処で、ガルマンウルフの艦隊を出すのが一番です」
「お待ちください。 ドメラー元帥!! 幾ら我が艦隊がステルスでも射程が足りなければ直ぐに壊滅してしまいます。 せめて、総統閣下の艦などに装備されている超射程兵器が無ければ……」
「確かに、ガルマンウルフの言うとおり超射程、超破壊力のある装備を付けずに出撃させることは、技術者としてもお勧めできません」
「ウラウルフ!! 其れを一日で成し遂げることは、出来るか?」 
「全ての動力をつぎ込めば、100隻ほど出来るでしょう」
「よし。 直ちに全作業をバラン奪還艦隊の改装に切り替えろ!!」
「はっ!!」
 ウラウルフは、次元潜行戦艦を改造するため作戦室を出て行った。
ステルス次元潜行戦艦をステルス次元潜行狙撃戦艦に改造するために……

第16章

『此方、電算室!! 恐ろしい速度で接近するハイペロン爆弾を捕らえました』
 電算室から報告がある。
「副長の宮川だ!! 詳しく報告してくれ」
『ヤマトの進行方向、左10度から接近しています。 後、30分で接触します』
「わかった。 艦長に報告する」
 そう言って、宮川は古代を呼んだ。
「艦長、至急第一艦橋へお越しください。 ハイペロン爆弾が接近中です」
 少しして、古代が艦長室から降りてきた。
「宮川!! 総員を配置に就かせろ!!」
「はい。 総員戦闘配備!!」
 ヤマト艦内に警報が鳴り響く。
「島、停止だ!!」
「よおそろ」
 島は、操縦桿を押してヤマトを止めた。
「斉藤!!」
「はいっ!!」
「トランジッション波動砲発射用意!!」 
「機関長!! トランジッション波動砲へのエネルギー注入お願いします」
「トランジッション波動砲へエネルギー注入開始!!」
コンソールパネルで波動砲へエネルギーを注入開始する徳川。
「トランジッション波動砲エネルギー注入50%」
 コンソールで注入状況を確認する徳川。
「波動砲薬室内、圧力上昇!!」
「チャージャ接続!!」
 チャージャを使って充填を急ぐヤマト。



「司令、1光年先に“ヤマト”を捕捉しました」
 ガルバリア戦隊の兵士は、報告した。
ガルバリア戦隊は、ワープで先回りしていた。
「ハイペロン爆弾、本戦隊の後方、3光年に接近!! ヤマトと接触まで後、10分!!」
「万が一に備え、ハイペロン爆弾とヤマトの軸線から退避!!」
 退避を命じる司令。
「ハイペロン爆弾、通過します」
 退避した戦隊の遥かかなたをハイペロン爆弾が通過する。



「トランジッション波動砲発射準備完了!!」
 斉藤が報告する。
「トランジッション波動砲の有効射程距離まで30秒!!」
「トランジッション波動砲発射30秒前!! 対ショック対閃光防御!!」
 メインクルーがゴーグルをつける。
波動砲の閃光から目を保護するためだ。
「電影クロスゲージ、明度20」
 斉藤は、照準機を覗いてハイペロン爆弾へ艦首を合わせる。
「トランジッション波動砲発射十秒前!!」
 カウントダウンを開始する斉藤。
「5、4、3、2、1、発射ぁっ!!」
 カチッと斉藤がトリガーをひいた。
すると凄まじいエネルギーがヤマトから発射された。
 発射されたエネルギーは、ガルバート帝国のハイペロン爆弾を飲み込み破壊した。
 しかし、凄まじいエネルギーの為、ブラックホールが発生した。



 遥かかなたで偵察していたガルバート帝国の艦にも衝撃が襲った。
「司令、異常重力波を検地しました。 ブラックホールです」
「ブラックホールだと!?」
「はい。 ヤマトが、波動砲でハイペロン爆弾を撃破した直後に発生しました」
「撤収だ!! ヤマトが出てきたことだけでも収穫だ」
「はっ!!」
 一斉に駆動炎を吹き上げて帰って行くガルバリア戦隊。
 ヤマトは、此の部隊の存在に気づいていない。