第15章

「ブリュンスタ大提督!! 間もなく偵察艦隊が到着します」
 兵士が報告した。
「よし。 此処へ案内しろ!!」
「はい」
 兵士は、直ぐに準備に掛かった。

「全艦減速!!」
 グリゴールは、減速を命じた。
基地が近づいてきたのだ。
 メインの噴射を止め制動に入った。
速度を落とし基地から伸びる連絡管へゆっくりと近づいて止まった。



「ワープ準備完了!!」
「波動エンジン、ワープ出力へ移行します」
 徳川が、エンジンの出力をワープへ移行させた。
「総員ベルト着用!! ワープ30秒前」
 ワープに向けてのカウントダウンが始まる。
「ワープ自動装置セットオン」
「ワープ!!」
 島がワープスイッチを入れるとヤマトは、ワープ空間に消えた。
ワープ空間に消えたヤマトは、そこで更にワープした。
 ヤマトは、通常空間に出る前にワープ空間に戻ってきた。
そして、ヤマトは通常空間に姿を現した。
「ワープ終了!!」
 島は、ワープ終了を報告した。
「各機関チェック!!」
 真田が、各機関をチェックする。
『各機関異常なし』
「艦長、各機関異常ありません」
「総員直解除!! 順次交代で休みを取れ!!」
 古代が総員直解除を伝えた。
「電算室!!」
 宮川が、電算室を呼び出す。
『此方、電算室』
 電算室長の金城零次が応答する。
「ハイペロン爆弾との接触時刻は?」
『明日、3030です』
「後、12時間か……」



「司令、間もなくハイペロン爆弾が通過します」
 兵士が報告した。
「そうか…… 到着早々で悪いが偵察戦隊を出してくれ!! グリゴール」
「どの戦隊を出しましょうか?」
「なるべく足が速いのがいい」
「では、我が偵察艦隊で最も足の早いガルバリア戦隊を銀河系へ出します」
「最新鋭部隊を出すまでもないだろう?」
「万全には、万全を期すべきです」
「よし。 直ちにガルバリア戦隊を派遣せよ!!」
「はっ!! ガルバリア戦隊、偵察に赴け!!」
 グリゴールは、命じた。
大マゼラン雲の基地から偵察艦隊所属ガルバリア戦隊が発進していった。



「司令、マゼラン雲防衛基地から通信です」
 通信兵が言う。
「出せ!!」
『たった今、我が基地をハイペロン爆弾が通過した』
「ハイペロン爆弾?」
『そうだ!! だから識別信号を出しておけ。 其処を通るのは、6時間後だ』
「いよいよ、地球への攻撃ですか!?」
『偵察艦隊のガルバリア戦隊の調査を待て!!』
「何故ですか!! 最新鋭部隊を引っ張り出さなくても……」
『お前は、一度、大事な艦を失った上に基地の存在を敵に知られている。 其れだけでも、出す価値がある』
 最新鋭の偵察部隊を出す価値があると言うブリュンスタ大提督。
『お前は、偵察部隊の報告を元に基地を強化することだ!!』
「何故、強化しなければならないのですか!? 現状でも十分ではないですか!!」
 十分だというホルギリス。
『皇帝陛下の命令だ!!』
「皇帝陛下の!?」
『そうだ!!』
 ホルギリスも皇帝陛下の命令だと言われたら意見することは出来ない。
「わかりました。 命令どおり基地を強化します」
 通信が切れるとホルギリスは、命じた。
「バラン星宙域の外に監視衛星を設置しろ!! 後、殲滅機雷も敷設して置け!!」
 今また、バラン星の基地が強化されようとしている。

第14章

「左舷前方に敵艦発見!!」
 サーシアが、言う。
其の敵とは、ヤマトの演習相手、[春藍]だ。
「宮川!!」
「全艦戦闘配備!!」
 宮川は、戦闘配備を命じた。
ヤマトに警報が鳴り響く。 艦内を戦闘員が慌しく行き来する。
「全艦戦闘配備完了!!」
 斉藤が、戦闘配備完了を報告する。
「遅い!!」
 遅いという宮川。
「技師長!! 左舷機関室付近に被弾!!」
「修理班、第一装備で現場へ急行!!」
 被弾といってもセンサーから命中判定が出ると発炎筒が作動する仕組みなのだ!!



「敵艦に一発命中!!」
 [春藍]も実戦同様の訓練が行われていた。
「一発だけでは駄目だ!! 命中点を逸らしているではないか!!」
 兵士を叱咤する艦長!!
「敵は、いまだに健在しているではないか」
 ズズゥンと衝撃がくる。
「艦首拡散波動砲に被弾!!」
「何!? 修理は?」
「駄目です。 制御室がやられています」
 之も演習だから実際に使用できないわけない。
「戦闘力0.50を切りました」
「残りで何としろ!!」
「機関出力0.20に減衰。 航行速度維持できません」
 次の瞬間、艦橋の電気が消えた。
撃沈されたと言うことだ。
「各機関チェック!!」
 艦長は、命じた。
「各機関異常ありません」
「異常なしか…… ヤハリ錬度の差か!?」



「艦長!! [春藍]から通信です」
 相原が言う。
「出してくれ!!」
「了解。 メインに出します」
 メインスクリーンに出る[春藍]艦長。
『さすがは、ヤマト。 錬度が違います』
「我々のほうこそ、お世話になりました」
『お力になれて光栄です。 本艦の問題点も探せました』
 礼を言う[春藍]艦長。
『之より[春藍]は、地球へ帰還します。 ヤマトの航海の安全を祈ります』



「総員、上甲板へ!!」
 [春藍]艦長は、命じた。
[春藍]の乗員が上甲板へ集まる。
「総員、ヤマトへ敬礼!!」
 駆動炎を吹き上げて旅立つヤマトを[春藍]の乗員は、甲板で見送った。
其れは、[春藍]のレーダーから消えるまで続いた。
「総員、配置に戻れ!! 之より地球に帰還する」
 艦長は、命じた。
「(偉大な提督たちの子が行く…… 偉大な提督たちよ、あの若者達を守りたまえ)」
 [春藍]艦長は、念じた。
ヤマトに乗り組んだ若者達が無事帰ってくるように……。



「総員に告ぐ!! ヤマトは、1900にワープを行う。 各人、其のつもりで作業に当たれ」
 島が、艦内放送で言う。
「艦長!! 此処で、超ワープ航法のテストをしたいのですが……」
「超ワープ航法!?」
「簡単に言うと、ワープ中にワープするということです」
「安全の確証は!?」
 安全性を問う古代。
「心配ない。 理論は、六連波動エンジンを作ったときに完成していたんだ!! だが、エネルギーを大量に必要とするから装備しなかっただけだ」
「早速実行に入ってくれ!!」
「了解。 島、超ワープ航法の準備だ!!」
 真田が、島に超ワープの準備を促す。
「超ワープ航法の準備に入ります。 総員、ワープ準備!!」
 島が言って、アラームを鳴らす。
「此方、真田。 此れから超ワープ航法のテストを行う。 衝撃が大きいので事故に注意しろ!!」
 長ワープ航法の準備が進められるヤマト。
今、新技術を導入した超ワープ航法が行われようとしている。


 ガルバート帝国のハイペロン爆弾と接触するまで後、1日。