第28章

「敵大編隊接近!!」
 サーシャが報告する。
「コスモタイガー隊、全機発進!!」
「加藤!! 任せたぞ」
『全機の全力挙げて何とかしてみます』
 ヤマトからコスモタイガー隊が発進していく。
 発進後直ぐに編隊を組んで飛行を開始する。



「全機!! 隙を見せるんじゃないぞ。見せたら撃墜されるぞ!!」
『『『『『了解!!』』』』』
「全機機銃及びミサイル誤発射防止装置解除!!」
 コスモタイガーの全機が保安装置を解除した。
 コスモタイガーが編隊を組んで敵機をロックする。
「全機攻撃開始!!」
 コスモタイガー隊と敵機の空中戦が開始された。
 圧倒的な数でコスモタイガーへ襲い掛かるガルバート機。
 其の様は、肉食動物が群れて草食動物を襲うように見えた。
「絶対にケツをとられるなよ!! とられたら終わりだぞ」
 加藤が言う。



「我が航空隊優勢!!」
 兵士が報告する。
「第二次、第三次爆撃隊の発進は如何しますか?」
「第二次、第三次爆撃隊発進!! 目標ヤマト」
「第二次、第三次爆撃隊発進!! 攻撃目標ヤマト」
 ガルバートの空母群から新たに爆撃機が発進していく。
 その攻撃目標はヤマト……



「敵空母より新たな艦載機が発進!!」
 サーシャが報告する。
「敵の規模は? 目標は?」
「敵機の総数2000機!!」
「2000機だって!!」
「相原!!」
「はい。こちらヤマト。加藤さん聞こえますか?」
『こちら加藤!!』
「敵空母から新たな艦載機が発進しました。気をつけてください」
『何機だ!?』
「新たに発進した数は2000機です」
『2000機だと!! 今の相手だけでも手一杯なんですよ』
「敵機、コスモタイガー隊に目もくれず本艦に突っ込んできます」
「加藤さんは、そのまま相手を続けていてください」
 そう言っている間にも敵機の大編隊が迫ってくる。
「敵機、本艦の最大有効射程距離に入りました」
「全主砲発射!!」
 ヤマトの主砲が一斉に火を噴いた。
 密集して飛行してくる敵機を粉砕していく。
 密集していて尚且つ数も多いので一度に撃墜できる数も多い。
「敵機接近!! 主砲だけでは対応できません」
「よし。バリアミサイル発射!!」
「バリアミサイル発射!!」
 ヤマトの艦首ミサイル発射管からバリアミサイルが発射される。
 敵機もミサイルを発射する。
 敵ミサイルは、バリアミサイルが作ったバリアに防がれる。
 だけど大量のミサイルの為、バリアを抜けてくる。
「敵ミサイル、バリアを抜けてきます」
「バリアミサイル、第二弾用意」
「待て!!」
「何故ですか!?」
「この距離では、役にたたん」 
「敵機ミサイル命中します」
 次の瞬間、ヤマトに敵機のミサイルが絶え間なく襲い掛かった。
「艦首被弾!!」
「反転しつつパルスレーザー掃射!!」
「パルスレーザー掃射開始」
 パルスレーザーが掃射され敵機を撃ち落していく。
其れでも掃射を掻い潜ってミサイルを撃ち込んでくる。
「被弾箇所の隔壁閉鎖急げ!!」
 真田は、ダメージコントロールの指示を出す。



「我が軍の攻撃圧倒的優勢!!」 
「当然だ!! あんな田舎戦艦相手に苦戦してたまるか」
「司令、第一次爆撃隊がヤマトの艦載機部隊によって壊滅状態です」 
「おのれぇ。第6次まで発進!! 完膚なきまで叩き潰せ!」
 新たな戦闘機部隊が発進していく。
 総勢5000機近くの敵機の相手をすることになるヤマト。

 はたしてヤマトは、この障害を乗り越えてマゼラン星雲へ行くことが出来るのだろうか?

第27章

「司令!! 全艦発進準備、整いました」
 兵士が、司令に言った。
「全艦、抜錨!! [七色星団]へ進路をとれ!!」
 ウェストワルドは、命じた。
大マゼラン雲の基地から空母を主力とする艦隊が血戦の地、[七色星団]へ向かって発進して行った。
「待っていろ、ヤマト!! [七色星団]を貴様の墓場にしてくれる」
「司令!! ワープ可能宙域まで後、50万宇宙キロです」
「よし。 ワープ可能宙域に達し次第、[七色星団]へワープだ!!」
 ガルバート帝国の空母艦隊は、ワープ可能宙域へ向かっていく。



「ワープ終了!!」
「よし。 全兵士に一時の休息を与える。 交代で血戦に備えよ!!」
「司令!! 念のため、監視衛星を宙域に配します」
「監視衛星を配置せよ」
 ガルバート帝国の旗艦から監視衛星が宙域に発射された。
暫くして監視衛星からの情報が入ってきた。
 監視衛星からの映像がスクリーンに映し出された。
スクリーンには、銀河系…… 太陽系方面の映像が映し出せれる。
「ふっふっふっふっ。 綺麗な宙域だ」
「司令!! 宙域に機雷を撒かれては、如何ですか?」
「良かろう。 機雷をばら撒け!!」
「はっ!! 宙域に機雷をばら撒け!!」
 副官が、司令の命令を伝達する。
艦隊から、機雷を満載した輸送艦が機雷撒布の為、艦隊の前方に移動した。
「輸送艦へ…… 機雷を全部吐き出せ!!」
『了解!! 全機雷を射出します』
 輸送艦から大量の機雷が射出された。
射出された機雷は、旗艦からコントロールされ宙域に散らばる。
 其処で副官が更に進言する。
「司令、もう一つ設置したいものがあります」
「何だ!?」
「空間干渉装置です」
「其れを設置したら我方にも影響するのではないのか?」
「いいえ。 我が方には、何の影響もありません。 影響があるのは、ヤマトの方です」
「ヤマトの砲撃を逸らすよう設定して配置しろ!!」
「砲撃を逸らすだけで良いのですか!?」
「砲撃を逸らすだけで良い。 どうせ、機雷群に阻まれるのだからな……」
「はっ。 ヤマトの砲撃を逸らすよう設定して設置します」
 彼は、知らない。
ヤマトが、空間干渉装置を使った敵と戦った事があることを……



「そぉら、アナライザー、もっと飲め!!」
 佐渡は、相変わらずアナライザーを酒の共にしていた。
「うぃ~」
 ロボットなのに妙に人間くさいアナライザー。
「おぉ、ミーくんも飲め!!」
「佐渡先生!! 決戦前日の昼間から飲まないでください」
「大谷くんも飲め!!」
「先生!! 之は、没収します」
 そう言って、佐渡から酒瓶を取り上げる大谷。
「わしの酒……」
「此の酒は、戦いが終わるまで艦長に預けておきます」
「返せ!! ワシの酒」
 大谷は、佐渡から取り上げた酒を持って医務室を出て行った。
「あぁぁっ……酒が……」
 佐渡は、がっかりした素振りをする。


 そして、数分後……。
 艦長に佐渡の酒を預けてきた大谷が戻ってきた。
「大谷!!」
「何ですか!? 佐渡軍医長!!」
「お前さんは、第二治療室で治療に当たるんじゃ」
「理由をお聞かせください」
「今度の戦いは激戦が予想される」
「其れは、分かります」
「当然ながら負傷者も相当な数が出るじゃろう……」
「分かりました。第二治療室は、お任せください」
 大谷は、持ち場である第二治療室に向かった。



「[七色星団]まで、後30分!!」
 島が報告する。
「副長!!」
「はい。ヤマトの全戦士に告ぐ!!」
 副長が全戦士に語る。
「後30分で敵と接触する。総員第一級戦闘体制の上、持ち場に就け!!」
 ヤマト艦内に第一級戦闘体制が敷かれる。
 ヤマトの戦士たちが自分の持ち場に就く。




「ヤマトよ墓場へやってきたか!! 此処が貴様の墓場だ」
「司令!! 爆撃機隊を発進させますか?」 
「少し早いが料理を開始しろ!!」
「はっ!! 第一次爆撃隊発進!!」
 ガルバート帝国の空母艦隊から第一次爆撃隊が発進していった。
「第二次爆撃隊以降も発進準備の上待機!!」  
「第一次爆撃隊全機発進していきました」
 第一次爆撃隊の総機数1000機がヤマトへ襲い掛かる事になる。

第26章

「皆、集まったか!?」
 メインクルーが中央作戦室に集まっていた。
「土方、次の戦闘宙域が分かったて本当か?」
 戦闘班長の斉藤が聞いた。
「あぁ。 皆さんも見てください」
 そう言って床のパネルに投影する。
「此処って、[七色星団]じゃないか」
「過去にヤマトが二度の会戦を行った宙域です」
「何故、[七色星団]何だ!?」
「宙域にたちこめる暗黒ガスと特殊な磁場が我々の眼くらましになると判断したのでしょう」
「我々が、[七色星団]のデータを持っている事も計算に入れているはずです」
「その事から、敵は圧倒的な航空戦力を投入してくると覆われます」
「圧倒的ってどのくらいの規模か!?」
 航空隊キャップの加藤が聞いた。
「先の戦闘で戦った艦の大きさから推測しますと五万機は、確実に投入してくるはずです」
「五万機だとっ!!」
「五万機は、流石に骨が折れそうだ」
 ヤマトには、120機のコスモタイガーが搭載されている。
其の5千倍以上の敵機の相手をせよといっているのだ。
「更に敵艦の数も空母100、護衛戦艦30、それ以外にも戦力があると予想されます。 [七色星団]での勝率は、0.25です」
「0.25か…… かなり低いな」
「0.25あれば十分だ!! 我々は、此の壁を必ず突破して大マゼラン星雲へいく。 真田さん、艦の修理は!?」
「後、2時間で終了します」
「技師長!! 次の戦い、必ず直撃波動砲が必要になります。 其のチェックもお願いします」
「分かった。 直撃波動砲の回路チェックもしておこう」
「では、土方、沖田。 作戦の概要を説明してくれ」
「分かりました。 作戦の概要を説明します」
 土方と沖田によって作戦の概要が説明される。
「敵は、エース戦闘機や爆撃機の大編隊でヤマトへ攻撃を仕掛けてくるはずです。 ヤマトだけで全機を撃ち落す事は不可能です。 回転防御レザー砲を使っても防ぎきれないと思われます」
「コスモタイガー隊には、敵機の各個撃破をお願いします」
「あぁ。 全機撃ち落してやるよ」
 作戦会議は、続く。
此処で立てられた作戦が後に名を残す事になる。



「将軍!! 本国から通信です」
 ガルマン兵が報告する。
「繋いでくれ!!」
「了解!! 回路開きます」
 バラン奪還艦隊旗艦のメインパネルにデスラー総統の姿が現れた。
「デスラー総統!!」
 将軍に習って兵士達もスクリーンのデスラーに敬礼した。
「デスラー総統!! ヤマトと共同戦線を張り、無事バラン星の奪還に成功しました」
『ひとまず、ご苦労だった。 お前達は、其のままバラン星の警備に当たれ!!』
「はっ!! バラン奪還艦隊は、此のまま警備につきます」
『わたしは、ヤマトと話をする』
 そう言って、スクリーンからデスラーの姿が消えた。



「艦長!! デスラー総統から通信が……」
 通信兵が報告に来た。
「通信回路を開きます」
 中央作戦室の大スクリーンにデスラー総統の姿が現れた。
『久しぶりだね。 ヤマトの諸君!!』
「デスラー!!」
『古代。 此れから如何する!?』
「我々は、整備が済み次第、[七色星団]へ向かう」
『[七色星団]か…… 懐かしい名だな』
「[七色星団]では、大きな戦いが相次いだ宙域だから」
『私の部下だったドメル将軍が果てた宙域だ!!』
「ヤマトが、暗黒星団帝国と白色彗星帝国の艦隊と戦った場所でもあり……」
『私が、ガミラス星とイスカンダルを破壊した暗黒星団帝国を屠った所だ』
 古代とデスラーは、昔話をしている。
『古代!! 急いでいるのだろう…… [七色星団]を回避していけ!!』
 [七色星団]を回避して行けと言うデスラー。
「其れは、出来ない」
『其れは、出来ないとは如何言う事だ!!』
「折角、君の手に戻ったバラン星が再び敵に奪われるからだ」
『敵に奪い返されるとは如何いうことか!?』
 古代は、予想される敵の戦力を話した。
『其れだけの戦力を投入してくると言うのか!?』
「少なくても其れくらい投入してくると予想している」
『バランの艦隊を援軍につけてやりたいが出来そうにない。 其れどころか、バランに増援を送らないとならんようだ』
 デスラーは、バラン奪還艦隊…… 今では、バラン警備艦隊を強化しないといけないと言う。
『ヤマトの諸君!! 銀河は私が守る。 ヤマトは、[七色星団]の敵を掃討後、敵母星へ向かってくれ』
「わかった。 デスラー、銀河系の事は頼んだ!!」
『今、全銀河の国家に戦力を集結させている。 ガルバート帝国に対抗しうる戦力には程遠い。 戦力の増強が出来次第、大マゼラン雲まで進出、防衛線をはる。 ヤマトの諸君の健闘をいのる』
 そう言って、通信は切れた。
「艦長!!」
「真田さん、整備と修理は!?」
「終わった。 何時でも発進できる」
 整備と修理が、終わったと言う真田。
「よし。 総員配置につけ!! 之より[七色星団]へ向かう」
 ヤマトは、歴史に残る大会戦が行われる[七色星団]へ向かった。

第25章

 バランから脱出した艦隊は、マゼラン雲へ逃げ帰っていた。
「ブリュンスタ大提督!! バラン基地から少数の艦が帰ってきました」
「何!? 直ぐに司令部に出頭させよ」
「はっ!! 直ちに出頭させます」



「司令。 司令部に出頭せよとの命令です」
 総司令部からの命令を司令に伝える兵士。
「分かった。 直ぐに出頭する。 例の資料を持ってきてくれ」
「はいっ」
 資料を持って司令部へ出頭するバラン地上基地司令。
出頭する彼の両脇を衛兵が囲んでいる。



「大提督!! バラン地上基地司令が出頭しました」
 大提督に報告する兵士。
「お前達は、下がれ!!」
 衛兵に下がれと命じるブリュンスタ。
「バラン防衛艦隊所属バラン地上基地司令、ウェストワルド出頭いたしました」
「ご苦労…… ウェストワルド、戦場放棄が重罪だとわかっているだろう」
「それは、重々分かっています。 地上基地もミサイルを発射して敵を倒さんと努力しました。 軌道の本部がヤマトに撃破された為、基地を放棄して脱出しました」
「戦闘データをセットしろ!! わし自ら分析する」
「はい」
 ウェストワルドが持ち帰った資料を分析器にかける兵士。
戦闘データがモニターに映し出される。
「銀河系攻略、一筋縄ではいきそうに無いな……」
 データーを見て呟くブリュンスタ大提督。
「大提督。 私の処分は?」
「少し、黙っていろ!!」
 なにやら、真剣な様子のブリュンスタ。
考え込んで暫く経った時、ブリュンスタが口を開いた。
「リベンザルを此処へ呼べ!!」
「はっ。 リベンザルを呼びます」
「大提督。 空母艦隊司令を呼ぶのですか?」
「あぁ。 彼の機動部隊をヤマトへあてる」
「本気なのですか!? 空母艦隊を展開できる宙域があるのですか?」
「ある」
 そう言って、とある宙域を映し出す。
「空母艦隊を展開できる宙域は、此処だけだ」
「此処は、何処ですか!? 大マゼランでは、無いようですが……」
「[七色混成発光星域]、通称[七色星団]だ。 資料によれば、過去に数度大きな会戦が行われている」
「其の大きな会戦と言うのは、何ですか?」
「ヤマトとガミラスのドメルとか言う名将が戦った会戦や数年前にも此の宙域で大きな戦いがあった」
「大提督、お呼びですか!?」
「君に艦隊を率いてもらわなくなった」
「まさか、バラン基地が陥落したのですか?」
「其のまさかだ、ウェストワルド……」
「あの規模の艦隊が全滅するとは、敵は何隻ですか?」
「ヤマトという艦と数隻のガルマン帝国の艦隊によってだ」
「たった、それだけの戦力で全滅したのですか!?」
「あぁ、たった、それだけの戦力で全滅した」
 映像を見ても信じられないと言う顔をするウェストワルド。
「大提督、私に用途は何ですか!?」
「君には、空母艦隊を率いて欲しい。 空母艦隊を率いて[七色星団]でヤマトを撃破してもらいたい」
「おまかせください。 [七色星団]で、見事にヤマトを撃破してごらんに入れます」
「出撃前に言っておく。 あのヤマトは、我々の知っているヤマトとは明らかに違う。 心してかかれ!!」
「はっ!!」
「ウェストワルド!! 空母艦隊に護衛戦艦部隊を加えて出撃せよ」
 空母艦隊に護衛戦艦部隊も加えるよう言うブリュンスタ大提督。



 遠く離れた宇宙では……
「陛下!!」
「バラン基地が陥落した」
「まさか、我が帝国の基地が簡単に落ちるわけ無いでは、ありませんか」
「間違いない。 バラン基地は、ヤマトとガルマン帝国の艦隊によって陥落した」
「では、ブリュンスタに確認を取ります」
 軍令長官のブラーシュが言う。
通信機を操作して、大マゼラン雲の基地へ連絡を入れる。
 暫く経って、スクリーンに大マゼラン雲のブリュンスタ大提督の姿が現れた。
「此方、本国のブラーシュだ!!」
『此方、銀河系侵攻艦隊司令部……』
「バランが陥落したのは、本当か!?」
『本当です。 軍令長官』
(皇帝陛下のおっしゃられたことは、本当だったか……)
「移民計画に変更は、ない。 予定通り銀河系を攻略せよ」
『はっ!!』



「艦長!! 次の戦闘が行われる可能性が高いのは[七色星団]です」
 中央作戦室の土方が言う。
「[七色星団]か……」
「艦長は、知っているのですか?」
「知っている」
 古代は、土方の問いに答えた。
「[七色星団]は、ヤマトが二度戦った宙域だ」
「二度と言われますと、ガミラスとの会戦と連合艦隊との会戦ですね」
 その二度の会戦は、地球の歴史で有名な会戦である。
「また、会戦が起こる可能性があると言うのか!?」
「はい。 会戦が行われる可能性は間違いなく100%です」
「避けて通れないのか……」
「避けて通る事は、出来ません。 既に沖田が技師長へ整備の要請をしに行っています」
「土方、1500にメインクルーを中央作戦室に集めてくれ!!」
「了解しました」
 ヤマトは、新たな戦いに備えた作戦会議が行われる事になった。
七色星団で歴史に名が残る大会戦が行われるまで後、3日。

第24章

「司令!! 敵艦隊が後退していきます」
「構うな!! 攻撃を続けろ」
「はっ!!」
「敵艦、反撃能力が落ちています」
「なかなか、沈まないな……」
「如何なさいますか?」
「本艦以外は、砲撃を続けろ。 止めは、私自らさす」
 ホルギリスは、自ら止めをさすという。
「ガルバート砲、チャージ!!」
「ガルバート砲のエネルギーチャージを開始します」
 ガルバート艦の旗艦でエネルギーが高まる。



「ネオ・波動砲発射用意!!」
「ネオ・波動砲発射用意」
「ネオ・波動砲への回路開きます」
 徳川は、コンソールを操作して波動砲へエネルギーを送り始める。
「電算室!!」
 斉藤は、電算室へ指示を出す。
バラン星に影響の無い発射角を割り出す為……
「ネオ・波動砲、エネルギー充填30%!!」
『此方、電算室。 空間探査担当』
「此方、第一艦橋」
『現在位置から上下角+-20、左右角+80ならバラン星に影響ありません』
「よし。 発射準備を急げ!!」
「新アフターバーナー点火!!」
 新アフターバーナーを使ってエネルギー充填を急ぐヤマト。



「ガルバート砲、エネルギー充填100%」
「ガルバート砲、発射90秒前」
 ガルバート旗艦では、ガルバート砲の準備が進められる。
「後、60秒で全て終わりだ……」
「ガルバート砲、臨界点まで後、60秒」



「ネオ・波動砲、エネルギー充填200%」
「ネオ・波動砲発射60秒前!!」
 ヤマトの艦首にエネルギーがどんどん集まってゆく。
『艦首ミサイル発射管被弾!!』
『第二砲塔損傷!!』
「エネルギー充填360%」



「司令!! 敵艦、沈黙。 反撃能力も無い模様」
「よし。 砲撃やめ」
 司令の命令と共にガルバート艦からの砲撃が止んだ。
艦橋の窓からは、いたる所から煙を噴き上げているヤマトが見えた。
「ガルバート砲発射20秒前!!」



「ネオ・波動砲、発射準備完了」
「ネオ・波動砲、発射20秒前。 総員、対ショック、対閃光防御!! 電影クロスゲージ明度20」



「司令!! 小ワープさせた艦の乗員脱出完了しました」
「よし」
「ガルバート砲、発射10秒前」
 ガルバート旗艦でカウントダウンが始まる。



「ネオ・波動砲発射10秒前」
 ヤマトでもカウントダウンが始まる
「10、9、8、7、6」



「5、4、3、2、1」
「発射!!」
 司令は、0と共に発射ボタンを押した。
すると、ガルバート旗艦から強力なエネルギーがヤマトへ発射された。



「2、1、発射ぁ!!」
 斉藤も0と共にトリガをひいた。
するとヤマトの艦首からうねりを上げて強力なエネルギーが発射された。
 発射されたエネルギーは、ガルバート艦隊へ伸びていった。



 ガルバート旗艦から発射されたエネルギーもヤマトへ伸びていった。
ある程度、進んでいったところで、双方のエネルギーは衝突した。
 ヤマトの発射したネオ・波動砲の方に威力があった為かガルバート砲を飲み込んでガルバート艦隊へ襲い掛かった。



「司令!! 敵の超強力エネルギーがきます。 回避間に合いません」
「ぐわぁぁぁっ!!」
 司令の悲鳴と共にガルバート艦隊は、ヤマトのネオ・波動砲に飲み込まれていった。
 直撃を免れた艦も強力なエネルギーの奔流に巻き込まれ次々爆発していった。
 そして、ネオ・波動砲の去った後にはガルバート帝国の艦は、1隻も残っていなかった。



「敵部隊、反応消失!!」
「敵、艦載機部隊撃破!!」
 時を同じくしてコスモタイガー隊から敵機の撃破の知らせが入ってきた。
「バラン星からの脱出艦を確認!! 基地を放棄するようです」
 太田が報告する。



「司令!! 司令部が壊滅しました」
 兵士が報告する。
「全艦、全速で此の宙域より離脱!! 決して、交戦はするな!! 我々は、此の情報をブリュンスタ大提督へ届けなければならない」
 脱出した残存部隊の司令が戦闘宙域からの離脱を命じた。
バラン星宙域の戦闘は、終了した。



「生活班、死傷者の確認を行え!!」
 ヤマトでは、戦闘での死傷者の確認を行った。
『此方、医務室の佐渡じゃ!! 確認は、すんどるぞ』
 宮川が確認するよう通信しようとした時、医務室から連絡が入った。
「佐渡先生、報告をお願いします」
『死者は、3名。 重軽傷者は、10名じゃ』
「其の死者は、何処の配置ですか!?」
『下部第一砲塔の砲手じゃ』
「報告有難うございます」
「技師長!! 艦の修理の指揮をお願いします」
「了解!!」
 真田は、艦の修理式の為、第一艦橋から出て行った。

第23章

「司令!! 敵艦、浮上しました」
「全艦、砲撃開始!!」



「将軍!! 浮上しました」
「よし。 全艦、デスラー砲発射!!」
 グラルバジャルは、デスラー砲の発射を命じた。
ガルマン帝国のアスタル級次元潜航戦艦から伝家の宝刀デスラー砲が発射された。
 発射されたデスラー砲は、ガルバートの戦艦へ襲い掛かった。



「司令!! 敵艦隊から強力なエネルギーが来ます。 ご指示を……」
「そんな砲撃、避けるまでもない」
 だが、予想に反した事が起こった。
直撃を受けた艦が蒸発したのだ。
「見方艦十隻轟沈!!」
「何故、あの程度の砲撃で我が方の艦が沈むんだ!!」
「我々が、持っているデータが古かったようです。 今の砲撃は、我々が持っているデータより強力でした」
「こうなったら、あの艦を先に沈める。 全艦全力砲撃で、あの艦を沈めろ!!」
 ヤマトへ集中攻撃を命じるホルギリス。
「全艦砲撃準備完了!!」
「砲身が解けるまで撃ち続けろ!!」
 ガルバート帝国の戦艦群の主砲が一斉に火を噴いた。



「右舷被弾!!」
「左舷装甲板剥離!!」
 敵の集中砲火でヤマトは、損傷していく。
「艦載機隊、押し戻しています」
 形勢が不利だった艦載機隊が押し戻しているようだ。
「艦長!!」
「技師長!! 超爆縮波動カートリッジ弾は仕えるか?」
「問題ない。 使えます」
「よし。 全主砲の弾丸を超爆縮波動カートリッジ弾に変更だ!!」
「全主砲、第一砲塔から順次、超爆縮波動カートリッジ弾に切り替えよ」
 副長は、第一砲塔から順次、超爆縮波動カートリッジ弾に切り替えるよう命じた。
 その間にもヤマトは、被弾していく。
『此方、第一砲塔。 超爆縮波動カートリッジ弾への装換完了!!』
 装換完了の報告が第一砲塔から来る。
「各砲へ。 装換完了次第命令を待たずに撃て!!」
 斉藤が各砲へ練達する。
装換が終わった第一主砲が火を噴いた。
 発射された弾丸は、一直線に敵艦へ突き進んだ。
そして、巨大な敵戦艦を一射撃で1隻蒸発させた。



「司令!! 我が方の戦艦1隻が敵の砲撃で轟沈しました」
「たかが1隻。 気にするな!!」
「ですが……」
「五月蝿いぞ!!」
 そう言って、銃を抜いて部下に突きつける。
「いえ。 聞いていただきます。 見方の沈み方が異常なのです。 普通の砲撃では、あんな風には沈みません」
「確かに我らの艦は、何度も砲撃を打ち込まないと沈まん」
「だから、異常なのです。 早く対策を取らないと全滅してしまいます」
「止むえん。 5番艦、6番艦!! 敵戦艦の至近距離へ小ワープ!!」
 敵艦の至近へ小ワープを命じるホルギリス。
5番艦と6番艦が空間を歪めて小ワープして行く。



「大変です。 敵艦2隻がワープしてきます」
 其の直後、2隻の敵艦がヤマトの左右に出現した。
「側舷ミサイル発射します」
「待て!! 此の距離で撃ったこっちも被害を受けしまう」
 側舷ミサイルの発射を止める真田。
「艦長、左右の敵艦から脱出艇が多数出ています」
「敵は、我々を何らかの兵器で葬るつもりだ」
 ズズゥン!!
 敵の砲撃は、続く。
『此方、第三艦橋。 下部第一砲塔被弾!! 砲撃不能』
「艦長!!」
 副長が指示を求める。
「相原!! ガルマン艦隊に退避するよう伝えろ!!」
「了解!! ガルマン艦隊に退避するよう伝えます」
 そう言って、ガルマン艦隊に通信を送る相原。



「将軍!! ヤマトより通信です」
「読め!!」
 通信を読めと言うグラルバジャル。
「直ちに安全宙域まで後退されたし」
「ヤマトは、何かをするつもりだ…… 全艦、交戦しつつ後退せよ!!」
 グラルバジャルは、交戦しつつ後退するよう命じた。
ヤマトは、いったい何を撃とうとしているのか!?

第22章

バラン宙域……
「敵機来襲!!」
 加藤は、コスモタイガー隊を指揮して迎え撃つ。
「絶対に一機で戦うな!! 複数機で迎撃に当たれ」
加藤が見方に指示をだす。
「「「「「了解」」」」」
 了解の返事が各機から返ってくる。
「さぁ。 行くぞ!!」



「コスモタイガー隊、敵機との交戦に入ります」
 航空管制の女川浩介が電算室長に報告する。
「よし。 しっかり管制をしろ!!」
「了解!! 管制を行います」



「司令。 全機発進しました」
「よし。 敵機を撃ち落せ」
 コスモタイガーを撃ち落せと命じるホルギリス。



「ヤロウ共、撃墜ゲームの開始だ!!」
 ガルバート機の隊長が言った。
『待ってました』
「油断だけは、するな!! 油断したら撃墜されるぞ」
 隊長は、コスモタイガーを強敵と判断した。
「喰うぞ」
 ガルバート機が一斉にコスモタイガーへ飛んでいくその数500機にも及ぶ大編隊。



「将軍!! 如何しますか!?」
 副官が聞いた。
「瞬間物質移送機は、駄目…… 亜空間魚雷も駄目、主砲も駄目」
「残るは、デスラー砲とガルマンカートリッジタイプの魚雷です」
 ガルマン艦隊は、攻めあぐねていた。
「せめて惑星破壊ミサイルがあれば、敵艦内に送り込んでやれるのに」
「将軍。 無い物の事を気にしても意味がありません。 現有戦力でがんばりましょう」
「全艦、爆縮ガルマンカートリッジタイプの魚雷を装填!!」
「全艦、爆縮ガルマンカートリッジ魚雷装填!!」
 グラルバジャルは、爆縮ガルマンカートリッジ魚雷の装填を命じた。
「之で駄目なら、デスラー砲を使う」
「しかし将軍!! デスラー砲は、仕えません」
「如何してだ!?」
「ヤマトの艦載機隊が敵機と空中戦を繰り広げているからです」
「之で、デスラー砲は使えないな……」
「各艦、爆縮ガルマンカートリッジ魚雷装填完了」
「よし。 発射!!」
 亜空間内のガルマン艦から爆縮ガルマンカートリッジ魚雷が発射された。



「司令。 亜空間ソナーに感!!」
「今度は、何だ!?」
「また、魚雷です」
「アイツ等、バカだな……」
「はい。 魚雷が効かないことぐらい分かっている筈です」
 しかし予想に反した事が起きた。
 見方艦が爆発して轟沈したのだ。
「何が起こったのだ!!」
「見方艦が敵の魚雷で轟沈しました」
「タダの魚雷程度の攻撃で沈むはず無い!! 敵の魚雷を調べろ」
 敵の魚雷を調べるよう命じたホルギリス。
 その間にも攻撃を受けるガルバート帝国のバラン防衛艦隊。
 上からは、ヤマトの攻撃。 下からは、ガルマン帝国の潜航艦の攻撃だ。


 真上と真下…… 彼の大帝国が崩壊した弱点である。


「司令!! 威力からして、エネルギーを圧縮したカートリッジタイプの魚雷と判明しました」
 分析結果を報告する兵士。
「よし。 貴様らを引きずりだしてくれる。 空間干渉波放射!!」
 空間干渉波を亜空間へ向け発射するガルバート旗艦。



「将軍!!」
「如何した!?」
「敵の空間干渉波で、これ以上潜航できません!! 通常空間に出てしまいます」
「くっ…… 全艦浮上!!」
(浮上させられるが、其れが貴様らの失敗だ!!)
「全艦、浮上と同時にデスラー砲を発射だ!!」
 今、正にデスラー砲の発射準備が進められる。
彼らは、知る事になる。 誰に弓を引いたのかを……

第21章

「コスモタイガー隊再出撃!!」
 近藤が再出撃を命じた。
命令を受けて再出撃していくコスモタイガー隊。
 ミサイルの再装填だけの為、さほど時間を食わなかったのだ。

「さぁ、行くぞ!! 全機、つづけぇ」
 加藤が、全機に命じた。



「全艦潜航開始!!」
 ガルマン帝国の艦隊が次々潜航していく。
バラン星奪還艦隊は、アスタル級のステルス潜航戦艦で編成されている。
「将軍!! 全艦潜航完了しました」
 副官が報告した。
「よし。 全艦微速前進!! 亜空間魚雷の用意をしろ」
「全艦亜空間魚雷用意!!」
 ガルマン艦隊も亜空間内で戦闘準備を進める。
「将軍!! 全艦、亜空間魚雷発射準備完了しました」
「そうだ。 ガルマンカートリッジタイプも発射可能状態にしておけ!!」
 グラルバジャルは、カートリッジタイプも発射準備を進めるように命じた。
 ガルマン艦は、亜空間内を静かに移動している。



『此方、電算室!!』
「如何した!?」
 副長の宮川が聞いた。
『亜空間レーダーが艦隊を捉えました』
「所属は?」
『データ照合の結果、ガルマン帝国の艦隊です。 恐らくデスラー総統が派遣したバラン奪還艦隊と思われます』
「艦長!!」
「全砲門全力発射」
「はっ。 全砲門全力発射」
 今、ヤマトの主砲が全力発射されようとしている。
『第一砲塔発射準備完了』
『第三砲塔発射準備完了』
『下部第一砲塔発射準備完了』
 各砲から発射準備完了の報告が来る。
「発射!!」
 斉藤が発射を命じるとヤマトの八基、計二十四門の主砲が火を噴いた。
大改造によってパワーUPしたヤマト主砲は、敵の巨大戦艦を撃ち抜いた。



「司令!! 波動砲を発射したヤマトが砲撃してきます。 更に艦載機部隊も地上基地へ攻撃しに行っています」
 兵士が叫ぶ。
「レーダーに新たな艦影!!」
「何処の艦だ!?」
「分かりません。 確認する前に反応が消えてしまいました」
「潜宙艦だ!! 各艦に爆雷を投下させろ!! いそげぇ」
「はっはいっ!! 各艦に爆雷を投下させます」
 慌てて爆雷を投下するガルバート艦隊。



「将軍!! 敵が、爆雷を投下したようです」
 ガルマン兵が報告する。
「無駄な事を…… 全艦亜空間魚雷発射!!」
グラルバジャルが、亜空間魚雷の発射を命じた。
ガルマンの次元潜航艦から亜空間魚雷が敵へ発射される。
 発射された亜空間魚雷が敵へ向かって突き進む。



「敵、魚雷急速接近!!」
 ガルバート艦の兵士が報告する。
「撃ち落せ!!」
 ガルバート帝国の戦艦から迎撃ミサイルが発射され次々がルマン帝国の亜空間魚雷を撃破していく。
「亜空間重爆雷投下!!」
「司令!! 敵艦載機隊がやってきます」 
「撃ち落せ!! 小うるさいハエを一機たりとも残すな!!」 
 次々、命令を出すホルギリス。
「亜空間重爆雷投下準備完了」
 兵士が、亜空間重爆雷の投下準備完了を報告した。
「投下!!」
 ホルギリスは、亜空間重爆雷の投下を命じた。
 巨大戦艦から次々投下される亜空間重爆雷。
 更に主砲が旋回しコスモタイガーを撃ち落さんと狙いを定める。
「司令!! 我々も艦載機を出したら如何ですか?」
「よし。 艦載機部隊発進!!」
「艦載機部隊発進!!」
 巨大戦艦の下部ハッチが開いてガルバート帝国の艦載機が無数に飛び立っていく。



「将軍!! 巨大爆雷が投下されました」
 兵士が報告した。
「主砲で破壊しろ!!」
「お待ちください」
 副官が反対意見を唱えた。
「待てだと!!」
「はい。 主砲を打てば、敵に居場所を教えるようなものです」
「では、如何するのだ!?」
「総統閣下の戦法を使うのです」
「デスラー戦法か…… 瞬間物質移送機で送り返すのか」
「アレだけの数を全部送り返すのは不可能です。 総統閣下の旗艦やドメラー艦隊総司令のガルマン・ヤマトかタラン副総統のグレート・デスラーガミラシア並みの出力があれば余裕で送り返せるのですが……」
「此の作戦が成功して凱旋した時にデスラー総統に頼むとしよう」
「では、早いところ任務を完遂しましょう」
 ガルマン帝国のバラン奪還の為の戦いが本格的に始まった。
通常空間ではヤマトが…… 亜空間からは、ガルマン帝国がガルバート帝国の巨大戦艦を狙う。
 戦いの火蓋は、切られたばかりなのだ。