第3章

 ガルマン・ガミラス本星、其の執務室でデスラーは執務を執っていた。
「デスラー総統、バランの防衛艦隊が非常通信を送ってきた直後、交信を絶ちました」
 参謀長のキーリングが言った。
「交信を絶っただと!?」
「道の敵の攻撃をと言って切れました」
「キーリング、緊急軍事会議だ!! 其れから銀河連邦加盟国へ注意喚起をしろ」
「加盟国に警告を発します」
「総統、映像解析部の分析結果が出ました」
 キーリングと入れ違いにウラウルフが入ってきた。
「ウラウルフ。 結果は如何だった!?」
「はい。 此方をご覧ください」
 ウラウルフは、映像を投影する。
「アレが、敵か!?」
「アレが、バラン防衛艦隊を撃滅した敵です」
「うん!?」
 ふとデスラーが何かに気づいた。
「ウラウルフ、あの部分をめ一杯拡大してくれ!!」
「拡大します」
 デスラーが指示した場所を拡大するウラウルフ。
「アレは、地球の船の残骸…… 如何やら敵は此の銀河が目的のようだ」

         ◇

「長官、各開発船団に警報を発しました」
「警報だけで回避できないだろう…… 各造船所へ伝達。 改アンドロメダ級の建造を伝えろ!!」
「本当に、改アンドロメダ級の増産分を加えても現在の戦力で勝てるのですか?」
 参謀長の近藤が聞く。
「私としましては、封印したヤマトを使ったほうがいいと存じます」
「ヤマトは、我らの最後の砦だ。 万全の状態で出撃させる」
「ヤマトを出撃させるにしても現在の装備で敵を排除できるか…… 数年がかりで行った拡大改装も先日終わったばかりです」
 艦隊運営の責任者、三千院が言う。
「ヤマト改装の責任者である真田志郎が提出した書類によりますと、後一つ装備が加わるようです」
「其の装備とは、何なんだね!?」
「ガルマン・ガミラスとの技術交流で提示された装備です」
 事実、使用条件の無い技術は、多くの防衛艦に取り入れられている。
其の中でも一部の艦にしか装備されていない物もある。

「長官、ガルマン・ガミラスのデスラー総統から通信です」
 水谷が言う。
「水谷くん、出してくれ!!」
『久しぶりだね、地球の諸君!!』
 メインスクリーンにデスラーの姿が映し出される。
『君たちも、謎の敵に襲われたのは知っている』
「君たちもと言うことは、デスラーくんの所もかね?」
『そうだ。 敵の一部を倒したもののアッサリやられたよ』
「如何やら、今回は地球だけの問題ではないようだ」
『ついさっき、私は銀河連邦の加盟国に緊急招集を掛けた。 各国の主力艦隊が集まり次第、銀河系外円部防衛線を張る』
 突如、通信が乱れ別の人物が現れた。
『ガルバート帝国銀河系侵攻艦隊司令ブリュンスタが皇帝陛下に代わって銀河系全ての国家に命じる。 直ちに明け渡せ!! さもなくば、我らは実力行使に出る』
 はじめて見る敵の姿に言葉を失う。
敵の皮膚の色は、紫色だった。
『もう一度命じる。 直ちに全友人惑星を我らが皇帝陛下に差し出せ!!』
 沈黙の時が流れる。
『差し出す気は内容だな…… 仕方ない、我が帝国の力を見せてやろう。 此の星の人類を絶滅させてやる』
 映し出されたのは、地球だった。
『一ヶ月後、我らがハイペロン爆弾が着弾と同時に此の干すの屑共を絶滅させくれる。
せいぜい、最後のときまで泣いて後悔するがいい。 わっはっはっはっ!!』
 言うだけ言って通信は切れた。
「長官!!」
 参謀達は、長官に指示を求めた。
「旧ヤマト乗組員にアクエリアス大氷球へ行くように命令を……」
「長官!! ガルマン・ガミラスとの通信回復しました」
 通信参謀が報告した。
『話は、聞いた。 余も力になろう……』
 デスラーは、助力を申し出た。
「君たちのトップ技術、瞬間物質移送機と次元潜航艇の技術を提供してほしい」
 長官は、ほしい技術の名を口にした。
『其の二つは、我が帝国でも重要な機密事項だ。 簡単に提供するわけにはいかない』
 機密事項と言うデスラー。
『とは言え、今の状況で機密事項といっておれん。 イイだろう…… 其の二つの技術資料をヤマトに送っておこう。 其処に真田も居るのだろう!?』
「ありがとう。デスラー総統……」
『私も此れから忙しくなるので失礼するよ』
 スクリーンからデスラー総統の姿が消えた。

         ◇

 銀河系を離れること40億光年。
五重銀河の中に彼らの母星は、あった。
「皇帝陛下、銀河系侵攻艦隊のブリュンスタからハイペロン爆弾の発射要請が来ております」
 参謀総長のバルダムーヨォンが言った。
「何処からの通信だ!!」
「大マゼラン雲からです」
「侵攻は、順調のようだな」
「はい。 現在は、主力部隊が近場に来るまで進軍を止めている模様です」
「結構!! して、ハイペロン爆弾の発射目標は!?」
「銀河系は、オリオン湾太陽系第三番惑星地球です」
「と、其の地球が我らの新たな母星となるのだな……」
「はい」
「直ちに発射するがよい」
 皇帝陛下の命令が下った。
「地球へハイペロン爆弾発射!!」
 ガルバート帝国の母星、ミサイル基地から地球へハイペロン爆弾が発射された。



 地球人類を滅ぼす恐怖のハイペロン爆弾が発射された。 
ガルバート帝国のハイペロン爆弾が、地球へ落ちるまで後一ヶ月……

第2章

 マゼラン雲のとある惑星に基地が出来上がっていた。
巨大な艦同士を連絡管で繋いだ簡素なものだが其れでも基地と言う規模だった。 
「司令、巨大輸送艦に積んである司令部を展開します」
「直ちに展開設置せよ!!」
 司令が命じると全長100キロもある巨大輸送艦が割れ、司令部棟が姿を現し軌道上に設置された。
 兵士達の休息施設、酒保棟も司令部に隣接するよう設置され、基地としての体裁を整えた。
「司令、銀河系侵攻艦隊が到着しました」
「司令部員総員迎門歓迎式の用意だ!!」 
 アムールステルは、命じた。


 銀河系侵攻艦隊旗艦が司令部棟へ近づいてきた。
『此方、銀河系侵攻艦隊旗艦!! 接続完了、通路開放願う』
「了解。 接続および与圧完了!!」
 旗艦と交信する通信兵。
『此方、銀河系侵攻艦隊旗艦。 之より司令部へ移動する』
「了解。 ブリュンスタ司令の司令部入りをお待ちしています」

         ◇

 出来たばかりの司令部では、迎門歓迎式の準備が整っていた。
「総員整列!! ブリュンスタ大提督にお越し頂け!!」
 通路が開き、幕僚を引き連れたブリュンスタ大提督が入ってきた。
「基地は、完成しているようだな……」
「はい。 後は、閣下に司令室へお入りいただくだけです」
「よし。 参ろう……」
 一同は、司令室へ移動した。

「素晴らしい出来だ!! 良くやった」
「ありがとうございます。 ですが、司令室は共有することになります」
「如何いう事だ!!」
「閣下の銀河系侵攻艦隊司令部と我々、マゼラン雲防衛艦隊司令部がです」
「此処は、戦略上重要な星だったな……」
「閣下にお願いした儀がございます」
「何だ!! 言ってみろ!!」
「防衛線をもっと前線に進めたいと思います」
「此処で十分だろう!?」
「我が、防衛艦隊から偵察部隊を出し探査しております」
「司令!!」
「「何だ!!」」
「偵察部隊から通信です」
「出してくれ!!」
『此方、マゼラン雲防衛艦隊所属偵察部隊。 バラン星に基地を発見しました』
「基地だと!!」
『如何なさいますか?』
 少し考えてブリュンスタ大提督の顔を見るアムールステル。
「一旦撤退せよ!! バラン星には、私の艦隊を差し向ける」
『畏まりました。 一旦撤退します』
 方向を変え引き上げていく偵察部隊。

         ◇

「所属不明の艦艇が向きを変え引き上げていきます」
 ガルマン兵は報告した。
「逃がすな!! 叩き潰せ!!」
 バラン防衛司令は、命じた。
バラン星からエンジンを唸らせてガルマン艦が飛び立っていく。
「所属不明の部隊は、大マゼラン雲方面へ逃げていきます」
「ハイパーデスラー砲発射用意!!」
 司令は、ハイパーデスラー砲の発射用意を命じた。
此の部隊は、数少ないハイパーデスラー砲搭載艦が配備されているのだ。
「エネルギー充填完了!!」
「我が帝国の基地に来たのが運の尽きだ!! ハイパーデスラー砲発射!!」
 司令は、発射を命じた。
ハイパーデスラー砲は、所属不明の部隊へ襲い掛かった。

         ◇

「本部隊後方より強力エネルギー反応!!」
「何!? 全艦緊急ワープだ!! 急げ!!」
 謎の偵察部隊の艦は次々、緊急ワープして行く。
しかし何隻かは、間に合わずハイパーデスラー砲の餌食となった。

「ワープ終了!!」
「本部隊の被害は?」
「見方艦5隻が敵の超兵器で壊滅した模様」
 兵士は、報告した。
「残存艦にも機関の不調などの被害が出ております」
「全艦、艦隊根拠地へ!! 其処へ敵を誘い込む」

         ◇

「敵のワープ航跡探査完了!!」
「全艦ワープ!!」
 ガルマン艦がワープして行く。
敵の罠があることも知らずに……。

「ワープ終了。 全艦異常なし」
「全艦機関最大!! 敵を追尾する」

         ◇

 其のころ謎の艦隊は連絡を取っていた。
「何!! 敵の攻撃を受けただと!! 其れで被害は?」
『見方の一部が敵の超兵器で轟沈。 其の他の艦にも損傷があります』
「よし。 修理の手配をして置こう」
『ありがとうございますブリュンスタ大提督』
 礼を言う偵察司令。
『あっ……』
「如何した!?」
『今、敵がワープを終え追撃してきます』
「貴艦らは、其のまま敵を我らの有効射程距離へ引き込め!! 後は、基地の一部である超巨大戦艦群が敵を袋叩きにする」
『了解。 敵をそっちへ誘導します』

         ◇

「敵艦隊、追撃してきます」
「ようし。 あと少しだ!! もう少し引き込めば、ブリュンスタ大提督が敵を袋叩きにしてくれる」
 偵察艦隊は、基地へ少しずつ近づいている。
「馬鹿め、一歩ずつ地獄へ近づいているとも知らずに……」

         ◇

「敵は、真っ直ぐ逃げるようです」
「応戦もせずにか!?」
 ガルマンの司令は聞いた。
「応戦する素振りもありません」
「し、司令」
「如何した!?」
「本艦隊前方に巨大な基地が……」
 目視で確認した兵士が声を上げた。
其の時、基地を象る超巨大戦艦群の主砲が一斉に煌いた。
「見方、戦艦轟沈!!」
「見方駆逐艦全滅!!」
 司令は、罠にはまったと思ったが後の祭りだった。
「本星に緊急送信だ!!」
「了解。 緊急送信します」
 ズガアァン!!
旗艦も終には、被弾する。
「本星への緊急送信完了しました」
「ガルマン・ガミラス帝国に栄光あれ!!」
 其の直後、ガルマン帝国のバラン防衛艦隊は全滅した。

         ◇

「敵艦隊、撃破!!」
「ふわっはっはっはっ、わっはっはっはっ。 ガルバート帝国に歯向かうからそうなるのだ!! 大人しく降伏して奴隷となれば死なずにすんだものを」
 ブリュンスタ大提督は、見下したように言った。
「ホルギリス!!」
「はいっ。 大提督」
「お前を殲滅した艦隊の星の防衛司令に任ずる」
 ブリュンスタは続ける。
「只今を持て、ブリュンスタの権限においてホルギリスを提督としバラン防衛艦隊司令とす」
「ホルギリス。 其の任を仰せつかわります」
「よし。 直ちに艦隊を率い発進せよ!!」
「ハルギリス。 名を受け直ちに発進します」
 彼に与えられた戦力は、以下のとおりだ。

 超弩級戦艦(旗艦)
 超巨大戦艦×10
 戦艦×30
 駆逐艦×100
 護衛艦×200

 以上がホルギリスに与えられた戦力だ。
彼が、バラン星を制圧した後で騎士建設の資材を積んだ輸送艦が送り込まれることになっている。
 彼らは、他人の基地を使うのを好まないからだ。

         ◇

「全艦抜錨!! 目標、バラン星」
 ガルバート帝国のバラン防衛艦隊が一斉に駆動炎をあげ動き始めた。
「銀河の屑共、首洗って待っておれ!! 銀河系は、ガルバート帝国の物だと教えてやる」


 銀河系に最大の危機が訪れた。
銀河系を狙う国の名は、ガルバート帝国。 其の軍事力は、未知数である。

第1章

「艦長!! 地球との定時交信の時間です」
 通信員が言った。
「よし。 繋いでくれ!!」
「了解。 通信回路を開きます」
 艦橋の大スクリーンにマゼラン運開拓本部長が現れた。

『石原くん、船団の運行は順調かね?』
「此方、マゼラン雲開拓船団護衛艦隊旗艦艦長石原!!」
『石原くん、必要な資源を何時送ってくれるのかね?』
「現在、最終採取中です。 積み込みが完了しだい地球へ帰還します」
『地球は、君たちの資源を待っている。 一刻も早く運んできてくれ!!』
「了解しました。 船団の許す最大船速で帰還します」
『期待しているぞ』
「定時交信を終わります」
 スクリーンからマゼラン雲開拓本部長の姿が消えた。

「船団各線に作業を急がせろ!!」
「了解。 各船に急がせます」
「地球では、我らの資源を待ちって居るものが大勢居るんだ!!」
 石原は、力説する。
「第五番船の作業が遅れ気味です」
「他の船から応援を出し急げ!!」
「はい」
 副長は、応援を出すよう各船に伝えた。

         ◇

「司令官!! マゼラン雲内に所属不明の艦隊を発見!! 如何なさいますか?」  
 レーダー兵は、報告した。
「我らが移民計画は何があっても成功させねばならない。我らの前に立ちはだかるものは全て敵と見な!!」
「はっ!! 全艦戦闘配備!! 目標、所属不明艦隊!!」
 副官は、司令の命令を矢継ぎ早に出す。
「司令、全艦攻撃準備完了しました」
「ようし、全艦攻撃開始!!」
 謎の艦隊から地球の船へ攻撃が加えられる。

         ◇

「艦長!! 所属不明の艦隊の攻撃で輸送船が次々沈んでいきます」
「何!! レーダー手は何をしていた」
「其れが本船団のレーダー圏外から攻撃でして……」
「言い訳は、いい。 全戦闘艦緊急発進!! 敵を殲滅する」
 護衛任務の戦艦が次々発信していく。

         ◇

「敵は、やっと気づいたようです」
「今頃、動き出しても無駄だ。 既に勝負が決しているのだからな……」
 司令は、言う。
「手加減は、無用だ!! 一気に片付けろ!!」
 司令は、残虐な命令を出す。
「敵の一欠けらも残すな!!」

         ◇

「二番艦、応答なし!!」
 譲許報告をする副官。
「艦首波動砲損傷!! 使用不能!!」
 被弾の衝撃に艦が揺れる。
「機関室付近に被弾!! エンジン出力低下!!」
「凄まじい攻撃だ!! 攻撃する前に全滅してしまう」
 敵の猛攻に驚く石原。
「艦長!! 撤退を……」
「無駄だ!! エンジンを遣られた我々に逃げ切れる余裕はない」
 ズズーン!!
「メインノズルに被弾!! 航行速度低下!!」
「ゆ、輸送船全滅!!」
 また、悲報が入った。
「ぜ、全滅だと!! 護衛戦艦は、何をしている!!」
「護衛戦艦も全滅です」
「防衛軍本部に非常事態信号送信しろ!!」
「了解!! 非常事態信号を送信します」
 非常事態信号を発した直後、旗艦は爆散した。

         ◇

「敵の殲滅完了しました」
「よし。 丁度、此の星には資源も豊富にあるようだ、此の星を銀河系攻略の前線基地とする」
「司令!! 銀河系侵攻艦隊司令のブリュンスタ大提督から通信です」
 兵士は、言った。
『アムールステル!!』
「ブリュンスタ大提督、所属不明の敵を発見撃滅いたしました」
『先ずは、大マゼラン星雲を手中に収めたようだな……』
「はい。 此れから当惑星に基地を建設、防衛線をしきます」
『其の星、資源は豊富なのか?』
「豊富です。 敵が採取していましたので間違いありません」
『よし。 直ちに軌道上に基地を設営しろ!! 私も艦隊を引き入って其方に赴く。座標を転送してくれ!!』
「はい。 ブリュンスタ大提督」
 アムールステルは、部下に座標の転送を命じた。
「たった今、本艦隊の停泊場所の座標を送りました」
『有無。 たった今、貴殿の艦隊から座標を受け取った。別命あるまでその場で待機、基地の設営に当たれ!!』
「了解、立派な基地でもってお迎えいたします」
『期待しておるぞ』
 そう言って通信は、切れた。

         ◇

「長官!! 大変です」
「如何かしたのかね!? 石原くん」
「長官、マゼラン雲開拓船団の護衛艦隊旗艦との定時交信の直後に非常事態を知らせる信号が発信されました」
「非常事態信号だと!!」
「非常事態信号を受け通信を試みましたが繋がりませんでした。マゼラン雲で何かあったと考えられます」
「大統領が言われていたのはこの事だったのか!?」
 長官は、不意に大統領の名を口にした。
「大統領の言われていたことが事実だとすると彼らには過酷な任務に就いてもらうことになる」
「長官!! まさか……」
 水谷が長官に聞いた。
 水谷は、彼の対戦で活躍し今では、艦を降り長官の片腕として働いている。
「水谷くん、真田くんにアクエリアス大氷球に行くように言ってくれ!!」
「了解。 真田科学局長官にアクエリアス大氷球に行くよう伝えます」


 地球に新たな危機が訪れようとしている。其の危機は、今までの比ではない。