第8章

 銀河系東部方面軍…… 其の司令部は、巨大な要塞の中にある。
かつての東部方面軍の機動要塞を強化、巨大化させたのが此の要塞である。
「アールフレッド提督、周囲に異常はありません」
「有無。 警戒を怠るな!!」
「はい」
 此の方面軍も漏れず警戒強化の命が来ている。
其の時、突如要塞の警報が鳴り響いた。
「提督!! 要塞のセンサー群が空間湾曲波を探知しました」
 兵士が報告する。
「所属は、何処だ!?」
「データーベースにありません」
「ち、侵略者共が……」
 要塞は、現れた敵に混乱した。

         ◇

「艦隊前方に未確認要塞発見!!」
「全艦、砲撃開始!! 私を楽しませてくれよ」
 全てが巨大なガルバート帝国の戦艦が一斉に火を噴く。
目標は、ガルマン帝国の要塞だ。

         ◇

「敵が、攻撃をしてきています」
「此の要塞は、最新の技術を投入して創られた新型だ!! 一寸やそこ等の攻撃では、落ちん」
 自信を持って言うアールフレッド。
しかし、敵の砲撃は強力で要塞が揺れる。
「提督、第一装甲にヒビが入ってきています」
「空間磁力鍍金展開!!」
 堪らず空間磁力鍍金の展開を命じた。
「其れから、要塞各所から擬似煙を出せ!! 敵を罠にはめる」

         ◇

「敵、沈黙したまま反撃来ません」
「敵要塞各所から煙が出ています。 我々の攻撃で致命的なダメージを与えた模様」
「ふんっ。 つまらない」
「司令、ご命令を……」
「此のまま、アレを残すのは厄介だ。 とどめは、私自らさす。 ガルバート砲用意」

 ホルギリスは、ガルバート砲の用意を命じた。
「ガルバート砲エネルギー充填に入ります」
 旗艦の艦首にエネルギーが集まっていく。
「ガルバート砲、エネルギー充填完了!!」
 ホルギリスは、トリガーに手をかける。
「死ね!! ガルバート砲発射!!」
 旗艦の艦首から緑色のエネルギーが発射された。

         ◇

「敵旗艦に発射反応!! 長強力エネルギー来ます」
 兵士が叫ぶ。
「総員、ショックに備えよ」
 次の瞬間、激しい衝撃が要塞を襲った。
激しい衝撃が収まると各所から損害の報告が絶え間なく来た。
「左舷発着ポート大破!! ブロックを封鎖の上、放棄します」
「右舷ミサイル発射管波損」
 そんな中、アールフレッドは、命じる。
「ネオ・デスラー砲用意!!」
「しかし、要塞の損傷状態で撃てば、被害が……」
「分かっている。 総統の庭を踏み荒らす奴を見逃せるか!!」

         ◇

「司令、要塞にダメージを与えました」
「なかなか、しぶといな…… 第二射用意!!」
「ガルバート砲第二射エネルギー充填120%」
「司令、敵に高エネルギー反応!!」
「構うものか!! 第二射発射と同時に反転撤退する。 各艦に伝えろ!!」
「はいっ」
「之でくたばれ!!」
 ホルギリスは、トリガーを引いた。

         ◇

「敵より再び高エネルギー反応接近!! 直撃します」
 再び要塞を激しい衝撃を襲った。
さっきので、防御力が低下していたため各所で爆発が起こった。
「格納庫で爆発!! スプリンクラー作動しません!!」
「直ちに消火急げ!!」
「要塞の機能40%まで低下!!」
「ネオ・デスラー砲は発射可能か?」
「大丈夫です。 発射制御室は、無事です」
「よし。 発射口オープン。 ネオ・デスラー砲発射10秒前」
 カウントダウンが始まる。
「3、2、1。 ネオ・デスラー砲発射!!」
 アールフレッドは、デスラー砲のトリガを引いた。
要塞から発射された、ネオ・デスラー砲はガルバート艦隊へ襲い掛かった。

         ◇

「司令、敵要塞から超高エネルギー接近してきます」
「何!? ワープだ!! 急げ!!」
「だめです。 全艦のワープ間に合いません」
「無差別ワープだ急げ!!」
 彼らを要塞から発射されたネオ・デスラー砲が飲み込んだ。

         ◇

「敵部隊は?」
「旗艦と思われる艦がネオ・デスラー砲が直撃する瞬間にワープで逃げた形跡があります」
「総員、戦闘配備解除!! 各部、復旧に全力を尽くせ!! 救護兵、負傷者の治療及び死者の会衆を急げ!!」
 アールフレッドは、各所へ指示を飛ばす。
『提督、資材保管庫がやられています』
「何!? 使えるものは?」
『全て使い物になりません。 本国から資材を持ってきてもらわないと……』
「今は、消火を急げ!! 機密漏れの区画は、修理が終わるまで閉鎖だ!!」
『はいっ』

         ◇

「何だ!! アレは?」
 ブブゥー。
艦内にけたたましく警報が鳴り響く。
「司令!! 危険です。 艦内に有毒ガスが漏れています」
「何とかしろ!!」
「何とかしろといわれましても…… さっきのワープで艦の機器がいかれました」
 更に悪い事態が彼らを襲った。
「大変です。 艦内から空気が漏れています」
【危険!! 危険!! 総員脱出せよ!!】
 艦の危険を伝えるメッセージが流れる。
「脱出艇で脱出だ!!」
 ホルギリスは、司令部員を連れ脱出艇で脱出した。
脱出艇で艦を離れた直後、艦は大爆発を起こした。

         ◇

「何!! 東部方面軍が襲われただと!!」
「はい。 敵を退けたものの損傷著しいとのことです」
「取りあえずは、敵を退けたのだな。 何故、修理しないのだ」
「其れが、資材保管区画付近に被弾し使い物にならないとのことです」
「直ぐに補給艦隊を派遣しろ!!」
「はっ」
 デスラーは、東部方面軍へ物資の輸送を命じた。


 辛くも勝利を収めたガルマン帝国。 
ガルバート帝国の魔の手は銀河系へ伸びるのも時間の問題だ。

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