第2章

 マゼラン雲のとある惑星に基地が出来上がっていた。
巨大な艦同士を連絡管で繋いだ簡素なものだが其れでも基地と言う規模だった。 
「司令、巨大輸送艦に積んである司令部を展開します」
「直ちに展開設置せよ!!」
 司令が命じると全長100キロもある巨大輸送艦が割れ、司令部棟が姿を現し軌道上に設置された。
 兵士達の休息施設、酒保棟も司令部に隣接するよう設置され、基地としての体裁を整えた。
「司令、銀河系侵攻艦隊が到着しました」
「司令部員総員迎門歓迎式の用意だ!!」 
 アムールステルは、命じた。


 銀河系侵攻艦隊旗艦が司令部棟へ近づいてきた。
『此方、銀河系侵攻艦隊旗艦!! 接続完了、通路開放願う』
「了解。 接続および与圧完了!!」
 旗艦と交信する通信兵。
『此方、銀河系侵攻艦隊旗艦。 之より司令部へ移動する』
「了解。 ブリュンスタ司令の司令部入りをお待ちしています」

         ◇

 出来たばかりの司令部では、迎門歓迎式の準備が整っていた。
「総員整列!! ブリュンスタ大提督にお越し頂け!!」
 通路が開き、幕僚を引き連れたブリュンスタ大提督が入ってきた。
「基地は、完成しているようだな……」
「はい。 後は、閣下に司令室へお入りいただくだけです」
「よし。 参ろう……」
 一同は、司令室へ移動した。

「素晴らしい出来だ!! 良くやった」
「ありがとうございます。 ですが、司令室は共有することになります」
「如何いう事だ!!」
「閣下の銀河系侵攻艦隊司令部と我々、マゼラン雲防衛艦隊司令部がです」
「此処は、戦略上重要な星だったな……」
「閣下にお願いした儀がございます」
「何だ!! 言ってみろ!!」
「防衛線をもっと前線に進めたいと思います」
「此処で十分だろう!?」
「我が、防衛艦隊から偵察部隊を出し探査しております」
「司令!!」
「「何だ!!」」
「偵察部隊から通信です」
「出してくれ!!」
『此方、マゼラン雲防衛艦隊所属偵察部隊。 バラン星に基地を発見しました』
「基地だと!!」
『如何なさいますか?』
 少し考えてブリュンスタ大提督の顔を見るアムールステル。
「一旦撤退せよ!! バラン星には、私の艦隊を差し向ける」
『畏まりました。 一旦撤退します』
 方向を変え引き上げていく偵察部隊。

         ◇

「所属不明の艦艇が向きを変え引き上げていきます」
 ガルマン兵は報告した。
「逃がすな!! 叩き潰せ!!」
 バラン防衛司令は、命じた。
バラン星からエンジンを唸らせてガルマン艦が飛び立っていく。
「所属不明の部隊は、大マゼラン雲方面へ逃げていきます」
「ハイパーデスラー砲発射用意!!」
 司令は、ハイパーデスラー砲の発射用意を命じた。
此の部隊は、数少ないハイパーデスラー砲搭載艦が配備されているのだ。
「エネルギー充填完了!!」
「我が帝国の基地に来たのが運の尽きだ!! ハイパーデスラー砲発射!!」
 司令は、発射を命じた。
ハイパーデスラー砲は、所属不明の部隊へ襲い掛かった。

         ◇

「本部隊後方より強力エネルギー反応!!」
「何!? 全艦緊急ワープだ!! 急げ!!」
 謎の偵察部隊の艦は次々、緊急ワープして行く。
しかし何隻かは、間に合わずハイパーデスラー砲の餌食となった。

「ワープ終了!!」
「本部隊の被害は?」
「見方艦5隻が敵の超兵器で壊滅した模様」
 兵士は、報告した。
「残存艦にも機関の不調などの被害が出ております」
「全艦、艦隊根拠地へ!! 其処へ敵を誘い込む」

         ◇

「敵のワープ航跡探査完了!!」
「全艦ワープ!!」
 ガルマン艦がワープして行く。
敵の罠があることも知らずに……。

「ワープ終了。 全艦異常なし」
「全艦機関最大!! 敵を追尾する」

         ◇

 其のころ謎の艦隊は連絡を取っていた。
「何!! 敵の攻撃を受けただと!! 其れで被害は?」
『見方の一部が敵の超兵器で轟沈。 其の他の艦にも損傷があります』
「よし。 修理の手配をして置こう」
『ありがとうございますブリュンスタ大提督』
 礼を言う偵察司令。
『あっ……』
「如何した!?」
『今、敵がワープを終え追撃してきます』
「貴艦らは、其のまま敵を我らの有効射程距離へ引き込め!! 後は、基地の一部である超巨大戦艦群が敵を袋叩きにする」
『了解。 敵をそっちへ誘導します』

         ◇

「敵艦隊、追撃してきます」
「ようし。 あと少しだ!! もう少し引き込めば、ブリュンスタ大提督が敵を袋叩きにしてくれる」
 偵察艦隊は、基地へ少しずつ近づいている。
「馬鹿め、一歩ずつ地獄へ近づいているとも知らずに……」

         ◇

「敵は、真っ直ぐ逃げるようです」
「応戦もせずにか!?」
 ガルマンの司令は聞いた。
「応戦する素振りもありません」
「し、司令」
「如何した!?」
「本艦隊前方に巨大な基地が……」
 目視で確認した兵士が声を上げた。
其の時、基地を象る超巨大戦艦群の主砲が一斉に煌いた。
「見方、戦艦轟沈!!」
「見方駆逐艦全滅!!」
 司令は、罠にはまったと思ったが後の祭りだった。
「本星に緊急送信だ!!」
「了解。 緊急送信します」
 ズガアァン!!
旗艦も終には、被弾する。
「本星への緊急送信完了しました」
「ガルマン・ガミラス帝国に栄光あれ!!」
 其の直後、ガルマン帝国のバラン防衛艦隊は全滅した。

         ◇

「敵艦隊、撃破!!」
「ふわっはっはっはっ、わっはっはっはっ。 ガルバート帝国に歯向かうからそうなるのだ!! 大人しく降伏して奴隷となれば死なずにすんだものを」
 ブリュンスタ大提督は、見下したように言った。
「ホルギリス!!」
「はいっ。 大提督」
「お前を殲滅した艦隊の星の防衛司令に任ずる」
 ブリュンスタは続ける。
「只今を持て、ブリュンスタの権限においてホルギリスを提督としバラン防衛艦隊司令とす」
「ホルギリス。 其の任を仰せつかわります」
「よし。 直ちに艦隊を率い発進せよ!!」
「ハルギリス。 名を受け直ちに発進します」
 彼に与えられた戦力は、以下のとおりだ。

 超弩級戦艦(旗艦)
 超巨大戦艦×10
 戦艦×30
 駆逐艦×100
 護衛艦×200

 以上がホルギリスに与えられた戦力だ。
彼が、バラン星を制圧した後で騎士建設の資材を積んだ輸送艦が送り込まれることになっている。
 彼らは、他人の基地を使うのを好まないからだ。

         ◇

「全艦抜錨!! 目標、バラン星」
 ガルバート帝国のバラン防衛艦隊が一斉に駆動炎をあげ動き始めた。
「銀河の屑共、首洗って待っておれ!! 銀河系は、ガルバート帝国の物だと教えてやる」


 銀河系に最大の危機が訪れた。
銀河系を狙う国の名は、ガルバート帝国。 其の軍事力は、未知数である。

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