第14章

「左舷前方に敵艦発見!!」
 サーシアが、言う。
其の敵とは、ヤマトの演習相手、[春藍]だ。
「宮川!!」
「全艦戦闘配備!!」
 宮川は、戦闘配備を命じた。
ヤマトに警報が鳴り響く。 艦内を戦闘員が慌しく行き来する。
「全艦戦闘配備完了!!」
 斉藤が、戦闘配備完了を報告する。
「遅い!!」
 遅いという宮川。
「技師長!! 左舷機関室付近に被弾!!」
「修理班、第一装備で現場へ急行!!」
 被弾といってもセンサーから命中判定が出ると発炎筒が作動する仕組みなのだ!!



「敵艦に一発命中!!」
 [春藍]も実戦同様の訓練が行われていた。
「一発だけでは駄目だ!! 命中点を逸らしているではないか!!」
 兵士を叱咤する艦長!!
「敵は、いまだに健在しているではないか」
 ズズゥンと衝撃がくる。
「艦首拡散波動砲に被弾!!」
「何!? 修理は?」
「駄目です。 制御室がやられています」
 之も演習だから実際に使用できないわけない。
「戦闘力0.50を切りました」
「残りで何としろ!!」
「機関出力0.20に減衰。 航行速度維持できません」
 次の瞬間、艦橋の電気が消えた。
撃沈されたと言うことだ。
「各機関チェック!!」
 艦長は、命じた。
「各機関異常ありません」
「異常なしか…… ヤハリ錬度の差か!?」



「艦長!! [春藍]から通信です」
 相原が言う。
「出してくれ!!」
「了解。 メインに出します」
 メインスクリーンに出る[春藍]艦長。
『さすがは、ヤマト。 錬度が違います』
「我々のほうこそ、お世話になりました」
『お力になれて光栄です。 本艦の問題点も探せました』
 礼を言う[春藍]艦長。
『之より[春藍]は、地球へ帰還します。 ヤマトの航海の安全を祈ります』



「総員、上甲板へ!!」
 [春藍]艦長は、命じた。
[春藍]の乗員が上甲板へ集まる。
「総員、ヤマトへ敬礼!!」
 駆動炎を吹き上げて旅立つヤマトを[春藍]の乗員は、甲板で見送った。
其れは、[春藍]のレーダーから消えるまで続いた。
「総員、配置に戻れ!! 之より地球に帰還する」
 艦長は、命じた。
「(偉大な提督たちの子が行く…… 偉大な提督たちよ、あの若者達を守りたまえ)」
 [春藍]艦長は、念じた。
ヤマトに乗り組んだ若者達が無事帰ってくるように……。



「総員に告ぐ!! ヤマトは、1900にワープを行う。 各人、其のつもりで作業に当たれ」
 島が、艦内放送で言う。
「艦長!! 此処で、超ワープ航法のテストをしたいのですが……」
「超ワープ航法!?」
「簡単に言うと、ワープ中にワープするということです」
「安全の確証は!?」
 安全性を問う古代。
「心配ない。 理論は、六連波動エンジンを作ったときに完成していたんだ!! だが、エネルギーを大量に必要とするから装備しなかっただけだ」
「早速実行に入ってくれ!!」
「了解。 島、超ワープ航法の準備だ!!」
 真田が、島に超ワープの準備を促す。
「超ワープ航法の準備に入ります。 総員、ワープ準備!!」
 島が言って、アラームを鳴らす。
「此方、真田。 此れから超ワープ航法のテストを行う。 衝撃が大きいので事故に注意しろ!!」
 長ワープ航法の準備が進められるヤマト。
今、新技術を導入した超ワープ航法が行われようとしている。


 ガルバート帝国のハイペロン爆弾と接触するまで後、1日。

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